若者が大量に流出
大阪府の人口が減っている要因は明白です。若者が大量に流出しているからなのです。
下は、東京都と大阪府の高齢化の推移です。
東京と大阪の高齢化率(人口に占める65歳以上の割合)
東京都 大阪府
2005年 18.5% 18.7%
2010年 20.4% 22.4%
2015年 22.7% 26.1%
2020年 23.0% 28.0%(国勢調査データより)
これを見ると、橋下府政以前の2005年時点では、大阪も東京も高齢化率はほとんど同じだったことがわかります。橋下府政(2008年~)になってから大阪の高齢化率が急速に進んだのです。そして2020年時点では東京よりも高齢者の割合が20%以上も大きくなっているのです。愛知県や福岡県と比べても、大阪の高齢化の進み具合は突出しています。
新型コロナにおいて大阪でたくさんの死者を出たとき吉村知事は「大阪は老人が多いから」というような苦しい言い訳をしていましたが、何のことはない、自分たちで高齢者の割合を激増させていたのです。
人口が減り、高齢者の割合が増えているということは、つまり若者が大量に流出しているということです。
大阪のような大都市というのは、これまで若者は増えこそすれ、減ることはありませんでした。しかも大阪というのは、天下の台所であり、秀吉の時代から戦前まで実に400年近くも日本一の商都だったのです。岡山、広島などの中国地方や四国や九州の人たちは、「大阪に出る」というのが、進学や就職での大きなルートだったのです。その大阪に人が集まらなくなっているのです。
また、ここまで明確に行政の落ち度が数字に表れるというのは、なかなか珍しいのです。普通、行政というのは、誰が首長になっても、それほど人口などの数値が大きく変化することはありません。都市のインフラや企業の数というのは、知事が変わってもそう変わるものではないので、人口動態が急に変化するようなことはないのです。どこの都道府県も、知事が変わっても人口が急に減ったとか、急に高齢化が加速したというようなことはないのです。これほど明確に、都市機能の劣化が数字で表れているのは、大阪だけなのです。維新だけなのです。よほど、行政が悪かったとしかいいようがない数値なのです。
維新は、「財政再建のためには行政の低下は仕方がなかった」と言い訳すると思いますが、これもまったく詭弁です。維新の行政を少し分析していけば、財政再建のやり方があまりに雑ででたらめだったことがわかります。
たとえば維新は、救急医療センターや、赤十字病院、看護学校への数億円ずつの補助金を削ったり、公立病院の医師、看護師、府内の教職員などの人件費を削減していますが、その一方で、大阪万博には大阪府と大阪市で400億円を拠出しているのです。
こんなことをしていれば、そりゃ、医療は崩壊するだろう、若者は大阪から出ていくだろう、という話です。
新型コロナの死者数にしてもそうですが、大阪は確実に都市としての機能が低下しつつあるということです。
逆に言えば、これほど明確に数字に出るまでの劣化をよく放置できたものだ、ということです。普通は政党の首脳部の誰かしらが、数値に気づいて修正に働こうとするものです。しかし、維新にはそういう気配は一切ないのです。