その場合に、オリパラの「成功の度合い」にもよりますが、3つのシナリオが考えられます。
a)自民党は「オリパラは潔白であり、監査など笑止千万」と居直る。そこで与野党激突となり、野党勝利の場合は厳格な監査が行われ、その結果を受けて、責任ある政治家は失脚して政界再編。
b)菅政権がこの「ケジメ監査案」に乗っかって延命を図り、清和会や小池Gが没落、菅総理が野党の穏健派を抱きこんで政界再編。
c)自民党の造反派が「ケジメ監査案」に乗っかって、彼らが主導する中でマイナーな政界再編。
勿論、以上は思考実験のための「叩き台」に過ぎませんが、しかしながら、こうでもしないと、世論の中にある「裏切られた」という感情は行き場を失って、社会を不安定にし、結果的に国としての衰退を加速してしまうのではないかと思うのです。
また、このぐらいの荒療治をして、悪者を特定し、同時にIOCを含めた近代五輪に改革を迫るぐらいのことをしないと、日本の世論は今後「2度と五輪旗を見たくない」ということになりかねません。札幌招致など、全く雲散霧消してしまいます。国際的にも、北京、パリ、LAの各大会についても、暗雲を投げかけてしまうように思います。
問題を曖昧にして、反発感情を屈折した形で、意識の表面からどこかに押し込めても、結局はそういった不信感というのは、延々と残って国としての様々な決定を妨害し、最終的には政策を最善手から「外して」いくことになる、そんな危険性を感じています。この「オリパラのケジメ監査」のための管理内閣構想というのは、そうした国と社会の活力を維持するための一つの考え方として、皆さまのご検討に供したいと思うのです。(メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』より一部抜粋)
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image by: 首相官邸