透明シールドも役立たず
テレビでタレントやリーポーターが、顔の表情を見せたいからだろうが、フェイスシールドや、下から口を覆うマウスシールドを着けているのを見かけるが、これも感染対策としては効果がない。
フェイスシールド本来の用途は、医療現場で患者から大きな飛沫を直接顔に浴びることのないよう防護するもので、それではエアロゾルの細かい粒子は防げないので、医療者は当然、その下にはマスクを着けている。マウスシールドはもともと食品衛生用で、食品工場などで働く人が会話をして自分の唾液の大きな飛沫を食品にかけないようにするためのもので、いずれもマスクの代用とはならない(同P.134~)。
同様に、飲食店で客とキッチンカウンターの間にビニールカーテンを垂らしたり、客席同士をアクリル板で仕切ったりするよう指導が行われているようだが、これもほとんど意味がなく、肝心なのは店全体の換気。ドアや窓を開け放したり、換気扇や大型空気清浄機を上手く使って空気の流れをコントロールできれば、飲食店も営業できる。
スーパーやコンビニのレジで店員がゴム手袋をしたり、トレーの上で現金を受け渡したり、クレジットカードを客に操作させたりするのをよく見かけるが、物の表面に生きたウイルスが付着して手で触ると感染するということは、ない。だから無闇に手を消毒する必要も、ない。飲食店などで客が去った後のテーブルや椅子を念入りにアルコール消毒することがまだ続けられているが、その必要は、なくて、せいぜい石鹸水で洗った布巾で時折拭けば十分である。あくまでも空中を漂うエアロゾルを吸い込むことによる「空気感染」が主な感染ルートなので、その本質を知れば、何をすべきであり、何をしても意味がないかを自分で判断できるようになる。