まずは、安さ。かけそば・かけうどん、1杯170円。この価格は、先代から続いています。その安さの理由は、先代の思いを2代目が守ろうとしているからです。
先代曰く、「立って食べてもらうのに、そんなに高くはできん」。この言葉は、非常に重いのではないでしょうか。
お客さまを思う気持ち。まさに、「おもてなし」なのです。狭いお店で、立って食べてもらうのだから、せめて気軽に食べられる価格にしようという、心意気なのです。
いまは、立ち食いと言えど、お洒落なインテリアで、「新しい食のスタイル」を気取っているお店も多くあります。そんな時代に、古びたお店だけど、常連さんに守られている、懐かしき立ち食い屋さん。
常連さんが多いのは、もちろん、その美味しさに惹かれているからでもあります。このお店は、大阪らしく、だしがよく効いたつゆが自慢です。麺は、大阪人が好む、やわらかめ。そば・うどんのすべてに、とろろ昆布が入っていて、味を引き締めているようです。
かけそば・かけうどんは170円ですが、月見そば・うどんは210円。たぬき(きつね)そば・きつねうどんは220円。天ぷらそば・うどんは280円。天ぷらときつね、生玉子入りのデラックスでも370円という安さ。
油や小麦粉が値上がりしても、価格据え置きで頑張っています。先代である父親の意志を受け継いで、安くて旨いそば・うどんを提供し続けているのです。
そんな店主を慕い、毎年、年越しそばを食べに来る家族連れもいます。小さな女の子と両親。仲良く食べて、笑顔で帰っていくのです。
厳しい経営状況でありながらも、お店を愛してくれるお客さまのために、安くて美味しいそば・うどんを作り続けています。
これからもずっと残って欲しいお店です。
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