日本政府は、2001年のアフガニスタン政府樹立以来、国際的な支援を主導する国として、アフガニスタンの戦後復興と国家樹立に関与してきました。
今は亡き緒方貞子さんが議長を務めた復興会議、UNAMAのトップを日本人が務めたこと、少女教育の充実と質の向上にコミットしてきた事例、そして志半ばで命を落とした中村医師の献身などは高く評価されています。今後、その正の遺産をいかに活用していくのか。日本も考えないといけません。
その過程でしっかりと熟慮する必要があるだろうと思われる問いは、「タリバンは本当に悪い“やつ”なんでしょうか?」というものです。
カブール陥落直後の今、国際社会の関心は、タリバンによるアフガニスタンを国家承認するか否かという外交的な戦略が主かもしれませんが、今後、遠くて近い関係国として、アフガニスタンとどう付き合うべきかを考える際に、タリバンについてもっとよく知る必要があるのではないかと思います。
そのうえで、「アフガニスタンの“明るい”未来を阻害しうる勢力は誰なのか?」そして「それをいかに阻止するのか?」そして、「タリバンによる統治を認めるべきか否か?」といった問いに答えを探るべきでしょう。
個人的な見解としては、今後を担うべきなのは、これまでカルザイ氏以来、アフガニスタンの統治を行ってきた勢力ではないでしょうし、それはUAEに逃げ、完全に支持を失ったガニ氏でもないでしょう。
そして、20年前、タリバンへの攻勢をかけ、タリバンの追い落としをアメリカなどと行った北部同盟の誰かでないことは確かです。
北部同盟と言えば、最近、逃げていたドスタム将軍が帰国していますが、北部同盟が統治していたアフガニスタンでは、北部同盟による虐殺が行われ、恐怖状態を作り出しており、その恐怖状態にピリオドを打ったのが実はタリバンだったというのも、今後、アフガニスタンの統治を見ていくうえで忘れてはならない情報だと思います。
いろいろと話が飛んでしまいました。私の分析に同意できない箇所も多々あるかと思います。
ぜひ皆さんのお考えをお聞かせください。
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