休業中の店に「コロナのバカヤロー!」の張り紙。経営上は正解か間違いか?

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私たちがついつい表に出してしまいがちな「不平不満」ですが、やはり可能な限り避けたほうがいいようです。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、ネガティブな発信は同情を買うことはできても応援に繋がりづらい理由を解説。その上で、コロナのために休業している飲食店を例に取り、目にした人が足を運びたくなるような告知張り紙の文言を紹介するとともに、言葉選びの重要性を説いています。

ネガティブ共感を呼ぶ発信

私の自宅と駅との間には、いくつかの飲食店があります。その中の一つに、比較的最近できたお店(といっても1年近く経ちますが)が1軒あるのですが、ここ数週間ほど休業している様子です。テイクアウトなどもやりつつ営業をしていたのですが、今は店を閉めてシャッターに張り紙がしてある状態。

どういう理由で休んでいるのかは定かではないのですが、その店に関して、個人的にあることがすごく気になっています。それは店のシャッターに貼ってある張り紙の文言です。

張り紙には休業の理由がはっきり書いてあるわけではありませんが、どうやらコロナの影響によるものらしいことはなんとなくわかります。というのも、いくつかの文章の後にデカデカと「コロナのバカヤロー!」と書かれているからです。コロナの影響で店を開けても利益が取れず、閉めざるを得ない状況なのかなーという感じなんですね。

実際飲食店は、本当に厳しいところが多くて、そう思う気持ちはよくわかります。都内は特にアルコールを出しにくい雰囲気もあり、その店の場合はアルコールなしでは利益が出にくい構造だということも扱っているメニューから見て取れます。でも、「コロナのバカヤロー!」をデカデカ書くのはどうなのかなというのが率直な感想です。

飲食に限らず業界的に厳しいところは、今はたくさんあります。そこで働く人たちは、それぞれいろんな想いを抱えながら日々を過ごしていることでしょう。国や自治体など、いろんなところへの不満があることも、おそらくほとんどの人が気持ちは同じです。

だからなのか、今はとてもネガティブな共感を呼びやすくなっています。ニュース記事やTwitterなどでも、コロナ関連でネガティブな話題を発信すると、すぐに「私も同じです」「同じこと考えていました」「同じく不満があります」など、共感をしてくる人が集まってきます。元来、ネガティブな話題には人が集まりやすいので、そういう意見に乗っかってくる人は多いものなんです。

しかし、ネガティブな共感をいくら呼んでも、同情してくれる人はいるかもしれませんが、応援してくれる人はそう増えてはくれません。「コロナのバカヤロー!」と憤怒の思いを綴っても、道ゆく人は「あぁ、あそこも大変なのね」と同情はしてくれるかもしれませんが、「だったらもっと、売り上げに貢献できるように応援してあげよう」という気持ちにはなかなかなれないものです。

ましてや、近所にこの状況でもうまくやっているような店があるわけで、そこでうまくいっていないということは「あぁそういうことなのね」と妙な憶測すら呼んでしまいかねません。不満をいくらぶちまけても、自分たちもお客様もハッピーにはなれないのです。

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