全国のご当地カレーを製造する「ベル食品工業」の優れたビジネスモデル

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日本全国北から南、今やあらゆる土地で売られているご当地カレー。その多くが大阪のとある会社で作られていることをご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、「ベル食品工業」がご当地カレーを手掛けるようになったきっかけを紹介するとともに、その優れたビジネスモデルを解説しています。

「おこもり需要」で売れる、全国ご当地カレー。実は大阪で製造されている!?

レトルトカレーが流行っています。特に、ご当地カレーと呼ばれるもの。全国各地の特産品を使った、個性際立つカレーに人気が集まっています。百貨店やスーパーには、ご当地カレーのコーナーが設けられているほど。ご当地カレーの専門店もできています。ネット販売も好調で、多くのマニアが誕生しています。

たとえば、「徳島・阿波尾鶏カレー」「北海道・いかめしカレー」。消費者が、地名を聞いて思い浮かべるような特産品を使っているものがあります。また、「山梨・青い富士山カレー」や「高知・日曜市カレー」など、観光資源をテーマにした商品もあります。こうしたレトルトカレーがたくさん並ぶ売り場を見てみると、面白い発見があります。というより、驚きかもしれません。

日本全国の楽しくユニークな商品を見つけることができるのですが、着目して欲しいのは、パッケージの裏面。生産者の名前です。販売者は、当然各地方の会社やお店なのですが、作っている会社名に驚くことになります。

その中の多くの商品に、「ベル食品工業」と書かれているはずです。

つまり、ひとつの会社が全国各地のレトルトカレーを作っているということなのです。大阪に本社を構えるこの会社は、1952年創業で、カレールゥを製造・販売することからスタートしています。後にレトルトカレーの製造がメインとなり、誰もが知る大手企業の商品を作っていました。事業としては安定しており、売り上げも伸びていました。

では、なぜそんな会社が、地方の企業や商店のご当地カレーを作ることになったのでしょうか。大手でなければ、発注も少なく、大きな利益も見込めません。手間ひまが掛かるだけです。

転換のキッカケは、大手企業からの「値下げ要求」です。大量受注で売り上げは伸びるのですが、必ず値下げを要求されるのです。大手の商品は、販売価格が安いので、当然下請けの価格も安くなっています。その上で、さらに値下げを求められると、元々薄利多売で成り立っていた事業なのに、厳しい状況に追い込まれます。

しかも、大量生産故に1社への依存度が高く、“もしも”のリスクもあります。これでは先行きが見通せないと判断し、多品種小ロット生産、完全オーダーメイドのレトルトカレーにシフトしたのです。

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