“河野太郎一座”を台無しにさせた、菅首相の丸出し権力欲と進次郎の自己中

 

“河野一座”は、石破茂氏を引き込み、河野・小泉・石破の人気役者トリオで万雷の拍手を得ようともくろんだ。うまくいけば、党員票を根こそぎ奪い取り、1回目の投票で過半数に達したかもしれない。ただし、菅首相が大人しくしていてくれたらの話である。

今から思えば、小泉氏が官邸に日参し、総裁選不出馬を進言していた時期、河野氏を後継に据えるという腹案が菅首相に生まれていたかもしれない。

菅首相が、退任まぎわというのに渡米し、9月25日の日米豪印(クアッド)首脳会合に出席した経緯にも、その思惑が垣間見える。

クアッドは中国に対抗するためトランプ前政権が、外相会合として主催したのがはじまりだ。バイデン政権はそれを格上げし、今年3月、オンラインでトップ会合を開いた。その後、対面式の会合が企画され、9月下旬の国連総会の時期に開催すべく米国主導で日程調整が進められた。

しかし、9月3日に、菅首相が総裁選への不出馬を表明し、事情が一変した。9月29日には新総裁が決まる。クアッド開催時期を先にずらしてもらい、新首相の出席で未来を見据えた首脳会合とするか、あたかも“送別会”のようなものにしてしまうかは、菅首相の胸三寸にかかっていた。

9月23日のFNNプライムオンラインは、クアッドをめぐる外務省と菅首相のやりとりを以下のように記している。

首相周辺によれば、すでに退陣を表明していた菅首相は、外務省からクアッド出席の可否についてあらためて相談を受けた際、しばらく無言で考えた後、「俺が行かないと成立しないんだろ?日本のせいで(会議が)流れるのは、今後のためにも良くない」と静かに答えたという。

米国が9月下旬の開催にこだわり、菅首相の出席を切望した。ゆえに、菅首相が出席せざるを得なかったという理屈である。首相周辺が菅訪米を正当化するために作ったストーリーではないのだろうか。

9月25日の日テレニュースは、クアッド終了後の日米首脳会談について「『ヨシ』『ジョー』のベテラン政治家同士の絆を再確認する極めてプライベートなひとときとなった」と菅・バイデンの蜜月ぶりを報じたが、同時に、以下のような記述も添えている。

外務省幹部は今回の訪米ラブコールについて「バイデン大統領が菅さんのことを気に入っていて、最後に会いたがっている」と語ったが、バイデン政権関係者は「今回はとにかくクアッド実現が目的。『日本の総理』が出席してくれれば誰でもよかった」と冷ややかに受け止めた。

いつもながら、日米の温度差は大きい。この訪米は、米国のラブコールというより、菅首相が切望したと捉えるほうが、より正確なのではないだろうか。クアッドを軌道に乗せた首相として歴史に名をとどめ、後継者に外交成果を引き渡す。そんな形を整えるのが最大の目的ではなかったかと、筆者は思う。

菅氏が権力への未練を断ち切り、見事な引き際を演じていれば、小泉脚色による“河野太郎一座”の舞台は、自然に大成功をおさめていたことだろう。

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