“河野太郎一座”を台無しにさせた、菅首相の丸出し権力欲と進次郎の自己中

 

一方、小泉氏の言う「古い自民党」は狡猾だった。

河野氏の勝利を阻止し、岸田氏を手の内に入れるため、安倍前首相がとった策は、高市早苗氏への支持表明だ。9月4日午前のTBSニュース。

安倍氏はこれまで菅総理の再選を支持してきましたが、菅総理が総裁選への不出馬を表明したことを受け、高市前総務大臣を支援する意向であることが複数の関係者への取材で分かりました。

この報道の前々日、岸田氏はテレビ番組で森友問題に関し「さらなる説明が必要」と発言したが、報道後には「再調査は考えていない」と安倍氏への配慮を示した。自分ではなく高市氏を支持するという安倍氏に、不穏な意思と気迫を感じ取ったようだ。

結果的に安倍氏は、岸田氏の恭順姿勢という成果を得た。しかし、高市氏支持には、ほかに真の狙いがあった。自ら体得した総裁選のセオリーの実践だ。

返り咲きを狙う安倍氏が、石破茂氏ら4人と戦った2012年9月26日の総裁選。5人による混戦となって票が分散したため、決選投票にもつれこんだ。このとき、第1回投票での1位は石破氏で、議員票34、党員票165。安倍氏は議員票54、党員票87で2位だった。ところが、議員のみによる決選投票では、安倍氏108票、石破氏89票と逆転し、安倍総裁が誕生した。

人気があり党員票を多く集めそうな候補者に対抗するには、立候補者数を多くして票を分散し、決選投票に持ち込むこと。そうすれば、ほぼ議員票だけの勝負となり、派閥の締めつけを効かせることによって、結果をコントロールできる。

高市氏に一定の票を集めて安倍氏の影響力を見せつけ、河野氏の過半数獲得を阻止しさえすれば、岸田・高市の連合で決選投票を制することができるというわけだ。しかも安倍氏にとって、高市氏を支援することは、国家観を共有する支持者への明確なメッセージとなる。

安倍氏は事務所にこもり、高市氏への支援を求めて細田派の若手ら党所属議員に自ら電話をかけまくった。報道によると、安倍氏は周囲に「裏切ったら、こちらから縁を切る」などと語ったといい、強い働きかけだったことがうかがえる。高市氏が第1回投票で岸田、河野氏に伍する票を集められたのは、そのおかげだろう。

決選投票では、高市氏の票がどっさり岸田氏にまわった。岸田氏は安倍氏に大きな借りができた。新総裁に選ばれ、やがて首相になる岸田氏は、政権運営にあたって安倍氏の影響を排除できるだろうか。

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