いま戦ったら負ける。中国が米国との軍事衝突を避ける「4つの理由」

 

では、対中“戦争”では千載一遇のチャンスに思えるアメリカ政府はどうでしょうか?

こちらも残念ながら、国内政治問題に掛かり切りでしょう。コロナの感染拡大は、実際にはまだ収まっていませんし、全国での学校再開に合わせて、州ごとにマスクの着用義務の可否が政治マターになるなど、その対応に苦慮しています。

そして予算・財政問題も重く暗い影を政権に浴びせています。イエレン財務長官によると、「アメリカがついにデフォルトの危機に瀕している、非常に懸念すべき状況」というほど悪化しており、毎年の恒例行事のようになってしまっていますが、政府機関の閉鎖直前という状況になっているようです。

つまりアメリカも今、中国と戦うわけにはいかない事情が山積しています。

ゆえに、米中の対立は、TPP問題やアジア外の地域での代理戦争、半導体をめぐる経済戦争と争いなど、軍事的な対立以外のところで繰り広げられています。そして、それらも、実際には解決の糸口が見えないという状況であります。

このような中、日本では岸田文雄氏が第27代自民党総裁に選出され、来週には第100代内閣総理大臣に選出されることになります。

その新しい岸田政権は、総理自身の豊富な外交経験(外相として)を活かして、米中間の緊張関係の狭間で、日本の独自のスタイルを確立し、存在感を示す必要があると考えます。

どのような方策を講じ、そして日本としての立ち位置を決めるのか。今からとても楽しみにしております。

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