低コストで工期も短縮可能な「木造」の中高層マンションが常識になる日

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これまで中高層建築と言えば鉄筋コンクリート造(RC造)が常識でしたが、この先そのトレンドがガラリと変わる可能性があるようです。今回、相次いでいる木造の中高層マンション建設の話題を取り上げているのは、一級建築士でマンション管理士の廣田信子さん。廣田さんは自身無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』で、従来のRC造に対する木造の優位性を詳しく紹介するとともに、脱炭素時代の今こそ採用されるべき技術として高く評価しています。

木造のマンションが先端を行く時代に!?

こんにちは!廣田信子です。

木造の中高層マンションの建築が始まっています。木造建築の強度や、耐久性を高めた建材の開発が進み、低コスト化、工期短縮が可能になったためです。

7月上旬、東京都稲城市で、三井ホームが建築を進めている5階建てのマンション「MOCXION」(モクシオン)の現場が公開されました。

最近は、鉄筋コンクリートと木造を組み合わせた木造ハイブリットが登場していますが、(木造ハイブリット構造のマンションはすでに販売されています)モクシオンは、完全な「木造」です。1階は鉄筋コンクリートで造って、2階以上の壁や床は完全な木造建築です。

モクシオンは、国土交通省の令和2年サスティナブル建築物等先導事業(木造先導型)に採択されたプロジェクトです。今の木造建築は、75年~90年の耐久性を確保し、省エネ等級は最高レベルとなっています。その上、壁の厚さは、従来より薄くなり、工期を短縮できます。

日本でも、手に入りやすい国産木材を使って、高性能で安価なマンションを広めていこうという、実験的な試みです。

現場では、木材はパネルを工場で組み立てるので、1フロアーが約1週間で組みあがるといいます。鉄筋コンクリート造だと1か月かかるところ…がです。この工期短縮も工事費用の削減につながります。

木造にしたことで断熱性が高まり、建物のエネルギー消費量は一般の賃貸住宅より30%ほど削減できる見込みで、CO2排出量もコンクリート造などと比べて半分程度になるといいます。

モクシオンは、実験なので、賃貸マンションですが、さまざまはハードルを越えて木造は、すぐに分譲マンションに進出すると考えられます。核心的技術が使われ、断熱性能や地震に対する強さも、遮音性も増しているのです。

まだ部材の調達等に課題はあるようですが、脱炭素時代の今、これは採用されるべき技術です。何だか、夢を感じます。マンションも大きく変わりそうな気がします。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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