当時の主な国のアフガニスタン派兵数と死者数は次の通りで、オランダ軍の死者が少ないのは一目瞭然です。
オランダ:派兵数、約1800人・死者数、19人(06年~) ウルズガン州
米国:派兵数、約4万・死者数、683人(01年~)
カナダ:派兵数、約2800人・死者数、118人(02年~) カンダハル
英国:派兵数、約8300人・死者数、158人(02年~) ヘルマンド
この記事を読んだとき、私は「オランダ方式」などではなく「日本方式」だと呟きました。それというのも、2004年1月9日~2006年9月9日の2年8ヵ月間のイラク復興支援に派遣された陸上自衛隊は、自らを守るにも不十分な編成装備しか許されないという逆境を克服するため、現地住民との信頼関係の構築を最優先し、無事、任務を達成することができたことを知っていたからです。
役割分担として陸上自衛隊の安全をも図る治安維持任務に当たっていたオランダ軍は、陸上自衛隊が実行した住民との信頼関係構築の有効性に注目し、日本方式をアフガニスタンで実行に移したと思われるからです。
むろん、オランダ軍にも戦死者は出ています。それでもオランダ当局が「オランダ方式」として自信を持って語るのは、やり方しだいでは住民と信頼関係を構築し、損害を減らすことができることを証明できたからにほかなりません。
マスコミは、中村哲さんを讃える声をあたかも天の声のように一方的に伝えるのではなく、平和構築の在り方という角度から客観的な検証を行わなければ公器としての資格を失うことを忘れてはなりません。(小川和久)
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