「イカゲーム」の勝利確率を全力で計算。話題のドラマを数学で検証

 

確率の結論

すなわち「一人の人は、だいたい2枚は消費してくれる」「次に行く人は、3枚目からスタートできる」ということが「期待できる」ということになります。もちろん1枚で死ぬ人が連続する場合もありますし、逆に3枚4枚まで行けちゃうラッキーな人もいるので、で「絶対!」とは言えません。ただ平均するとそうなる、と考えてください。

すると18枚あるため、18/2で、「9」。すなわち9人いれば18枚は消費してくれることが期待できるため、「10番目」に出るのがベストということになります。11番目、12番目と、後になると、より安全になるわけですが、今度は時間に間に合わない可能性もでてきます。まぁ自分だったら、念のため12番目くらいに出るかもしれません。うん。

では実際のゲーム結果を振り返ってみましょう。まず途中、一人の女性が、憎んだ男を抱きしめて、次のガラスに倒れ込むことで自殺します(すなわち一人分の期待値をフイにした)。愛のウラ返しですね。愛していたからこそ、絶望も深かったのでしょう。

また一人の男が「前の男が進んだ道を忘れる」という失態を犯して死んだため、これもまた期待値から外れたとしてカウントしないことにしましょう。すると二人分を引いて、残るは14人になります。

ちなみに途中、「別の人に強引に押されてガラスを踏んでしまう」というイベントが出てくるのですが、それもまぁ、結果は同じです。自分の意志だろうが押されようが、確率は一緒です。いかにも自分で選んだ方が勝てそう、と思うのは心理学的な錯覚です。

くわえてラスト近く。残りガラスが3枚になった時点で、残る人間が4人になり、「ガラス職人だった」という男が先頭になります。そして2回にわたって、強化ガラスかどうかを判定します。すごい。チートです。ただ、主催者はそれに気づき、電気を落として、判定できなくさせていました。すなわちラスト1枚は完全に運です。かわいそう。ただ残りガラス1枚ですし、人間は4人います。余裕です。ガラス職人の男は悲しいことに落ちてしまいますが、残り3人はクリアできた…という結果になります。

ですのであらためて考えてみますと、「ガラス職人が実力で判明させたガラスが2枚」=実質、運でチャレンジすべきガラスは18-2で16枚。となると期待値的には2で割って、「8人が死ぬ」だけで済みます。

すると生き残りは16-8=8人。

ただ先ほど2名がムダに死んでしまったので、「6人生き残る」というのが期待される結果です。でも実際に生き残ったのは3人だけでした。すなわち彼らの運は相当悪い、ということが分かります。

ちなみに先ほど、男を道連れにして死んだ女。二人で強引にガラスに倒れ込むことで、そのガラス共々落下したわけですが、あれが1/2の確率で強化ガラスだった場合、どうしてたんでしょう。あれだけ悲壮な雰囲気で倒れて、「ゴチーン!痛ー!強化ガラスだったー!」みたいになってたら、その後の雰囲気が気まずすぎる、と思いました。

また原点に戻るのですが、そもそもこの橋のゲーム、スタートする順番を自分たちで決められるのですが、その時点で彼らはゲーム内容を知りませんでした。いやいやいや。そうなるとこれもうホント、運だろ、と。

すなわち期待値的には10番目以降に出るのがベストだと計算できても、それ以降を選べたかは、完全に運。それってもう純粋なくじ引きと大差なくなっちゃうんでは、と思いました。

ちなみに最初に行った人は、消極的だった自分を変えたい、という前向きな理由で一番を選んでいました。その結果がアレですから、切なすぎます。

さらに、あらためて思うのですが。ガラス職人が電気を落とされて、判定できなくされたイベント。いやいや、それこそヒドイ、と。ガラス判定も実力ではないかと。足腰が強いとか、頭がいいとか、そういうのと同レベルの実力や能力ではないか、と。何でそれだけ禁じられるのか分かりません。特にガラス職人の方が、ギャンブルやゲームでトクするチャンスなんてそうそうないでしょうから、まさに千載一遇の運の良さ。それが否定されちゃうのが、あまりにかわいそうです。

結論 

というわけでイカゲームの結論をまとめます。

・参加者は総じて運が悪かった

・特にガラス職人はかわいそうすぎた

これが自分なりに抱いた感想です。

この結果が人生に役立つことはないと思いますが、みなさんがいつか飛び石渡りゲームにチャレンジする際は思いだしていただければ幸いです。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

image by: DANIEL CONSTANTE / Shutterstock.com

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【著者】 大和まや・ゆうきゆう 【発行周期】 週に1度、宝石が届きます。

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