「イカゲーム」の勝利確率を全力で計算。話題のドラマを数学で検証

 

1/2の確率を18回

このゲームには、18枚の「普通のガラス」と18枚の「強化ガラス」がでてきます。そして参加者は、一歩ごとに、右か左か、選んで進んでいかなくてはなりません。そして右と左には、ランダムに普通のガラスと強化ガラスが配置されており、普通のガラスを踏むと、割れて落下してしまいます。すなわち1/2の確率を18回クリアしないと、ゴールまでたどりつけない…というゲームです。

いやこれ、言うまでもなく、不可能です。サイコロで、18回連続、偶数を出せ、みたいなものです。ムリ。

しかし、攻略法があります。それこそが「前の人が落下することで、残った方が強化ガラスだと分かる」というもの。

そうです。最初に行った人たちは、まさにイケニエです。最初に行っちゃった人は、めっちゃ急かされて死にます。かわいそう。

3枚目まで消費された(残り15枚の)状態でスタートすることになった参加者は「すべて正解させて助かる確率は2の15乗分の1…3万2,768分の1…」とつぶやきます。残り15枚でもこの確率です。切ない。とにかく後からスタートした方が絶対有利です。

ただ、「16分という制限時間があり、あまりに遅くなりすぎると時間オーバーで失格」というルールもあります。実際に一人一人が、毎回、自分が先頭になるたびに「ううう…!」と迷いはじめます。そりゃ生死がかかってるから当然ですね。

それで時間が削られていくため、確かにラストの人は間に合わない可能性がありそうです。すなわち「最初に行くと高確率に死ぬけど、あまりに後になるのも危ない」ということになります。

では一体、何番目にスタートするのがベストなのでしょうか。

全力で確率計算してみた 

ここから先、理系の方とか、数学が好きな方以外は、次の「確率の結論」の見出しまで読み飛ばして構いません。

細かい計算式を話す前に、まず感覚的な話をします。

まず、最初にスタートした人が、たとえ1枚目で落ちたとしても、次の人は、大丈夫な方が分かるため、2枚目からスタートできます。すなわち、最悪に運が悪い場合でも、1枚は消費してくれるわけです。

では前の人の運が良く、1/2の確率をクリアした場合はどうでしょうか。このとき、2枚目でも同じく1/2の確率になりますが、ここで落ちても、次の人は3枚目からスタートできます。もしラッキーなことに、最初の人が2枚目もクリアできたら、3枚目にもチャレンジできますので、次の人は4枚目からスタートできることが確定です。

さらに最初の人が3枚目もクリアできたら…など無限に想像は続けられますが、そこまで来ると確率が非常に少なくなります。

そう考えると、だいたい平均して、1人が何枚消費してくれるか?ということが計算できます。これを数学では「期待値」と言います。

ではこの場合の期待値はどれくらいでしょうか。

今回ですと、一人が消費できる枚数の期待値は、

・1×1/2 + 2×(1/2)の2乗 + 3×(1/2)の3乗 …

となります。計算がややこしくなりますが、この答えは「2」になります(ただ最高記録でも18枚という上限があるため、実際は「2より少し小さい」くらいになるはずです)。

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