いつから仕事が“苦痛”になったのか。若者がまた犠牲、人よりカネを優先した社会のツケ

 

さらにそれに拍車をかけたのが、大学のキャリア教育と“シューカツ”です。

「やりたい仕事を見つけよう!」「自分にあった仕事を見つけよう!」とばかりにたった20年程度しか生きていない、その半分は意識もない、若い学生たちに、「自己分析」だの「他者分析」などを徹底させ、大学2年生になると「就活に役立つこと」だけをやらせるようになりました。

本来、仕事とはやりたいとかやりたくないとかに関係なく、「やらなくてはならない」ことのオンパレードです。だからこそ、無心に仕事に没頭する中で、自分の強みを見つけたり、「へ~これっておもしろい!」と好奇心をかきたてる仕事に出会うことができた。自分が想像もしなかった能力を発揮することで、ますます仕事が面白くなる。それをサポートしてくれる上司や先輩や取引先の人たちとの人間関係の大切さを学ぶこともできます。

でも今は…それがない。ただの労働としての働き方を強いられている。その結果が、件の意識の変化です。

奇しくも、ノーベル物理学賞を受賞した米プリンストン大学の真鍋淑郎博士が「日本の教育をどう改善するか、考えてほしい」と苦言を呈し、「好奇心に基づく研究が減っている」と嘆いたことをさまざまなメディアが報じていましたが、その声はきちんと受け止められているのでしょうか。

私は10年以上前から、中学校の理科の教科書の編集委員をやっているのですが、教科書作りでは、いかに子供たちの「好奇心」をかきたてる内容にするか?を専門家と現場の先生たちが必死に知恵を絞ります。、掲載する写真や図を徹底的に吟味し、文章の一言一句にとことんこだわる作業と、繰り返し行うのです。

そこにあるのは「豊かな人生を歩んで欲しい」という、子供たちへの願いです。

その現場に直接関わっているだけに、好奇心に結びつかない教育、その末の働くことへの好奇心の変化…が、残念で仕方がありません。

みなさんのご意見、お聞かせください。

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image by: Shutterstock.com

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