維新は大阪ローカル政党を抜け出しせるのか
実は、日本維新の会が現有10に対し20以上、最大で30前後まで議席を伸ばすのではないかというのが、余り話題になってはいないが、今回の見所の1つ。維新は前回は大阪の選挙区で3議席を得、7人が比例復活した。今回は大阪で15人、兵庫で9人、東京で17人をはじめ28都道府県に計94人を立てており、一気に全国政党に脱皮しようとする意欲満々である。
しかし、各種調査では、大阪ではますます強く、19の選挙区のうち12で有利な戦いを進めていて、従って比例でも自民を上回る9議席程度を得るものと見込まれるものの、他ではほとんどトップ争いに絡んでおらず、そうでなければ自公vs野党共闘の2大勢力による政権獲得戦の形に近づいていくというのに、徒らに三つ巴にさせて選挙の争点をボヤケさせる役目を果たしている。
いや、三つ巴でもいいのだが、維新自体が、「大阪都構想」というまるっきり大阪エゴの(であるからして全国的には誰も興味のない)単一争点を突出させるためだけの勢力として政治舞台に登場し、それが霧散した後は、しからば何をするための政党なのか、自公政権と抱き合おうとするのかそれを倒そうとするのかも定かならぬ曖昧な存在でしかない。そのため、2極構図に割り込んで3極化させても、保守層の中の自民党にあきたらない票を削り取って保守分裂的な作用を起こすのか、反自民ではあるが立憲や共産は好きになれないという漠然たる野党的な気分の受け皿となって結果的に自民を助けるのか、その役割が不明で、それが多くの選挙区が無闇やたらに混戦化する要因の1つとなっている。
かつては橋下徹、今は吉村洋文府知事の人気に頼った「何となく改革っぽいことをやってくれそうなイメージ」というだけではない、何をする党なのかを示さないと、せっかく30前後の議席を得ても国民的には何の意味もないのではないか。
次の次あたりの「総理大臣」になれるのは?
山口3区は、参議院から河村建夫元官房長官を押し除けて鞍替えした林芳正が大勝するだろう。前に総裁選に挑んだこともあったが、政界の不思議な村の掟の下では参院議員(や衆議院であっても比例復活)では一人前に扱って貰えない。これで晴れて総裁・総理を目指すことが出来るわけだが、彼によって、宏池会の流れを組みながら安倍=清和会の軍事的タカ派路線と抱合してしまった麻生太郎、「宏池会」の看板を預かりながら安倍=麻生路線に媚を売って今の座に辿り着いた岸田、鳴かず飛ばずの谷垣禎一までをリシャッフルした真正宏池会が蘇るのかどうか。岸田は偽物の宏池会だが、林は本物で、これが力を持つと野党は戦いにくいことこの上ない。
香川1区は、『なぜ君は総理大臣になれないのか』ですっかり有名になった小川淳也が、前デジタル大臣で地元のメディア王一族のプリンスである平井卓也を一歩リードするという展開となっている。私のまったく勝手な予想では、来年の立憲の代表選では辻元清美代表、小川幹事長の体制にチェンジして政権を獲りに行き、それがうまくいくかいかないかはともかく、その次くらいが小川代表の時代になる。そのためには彼はここで選挙区で勝ち上がらなければならない。
林芳正60歳、小川淳也50歳。林は衆議院への鞍替えに約10年間も党内の壁と闘わなければならなかったので、もう還暦になってしまったけれども、岸田の64歳より若い。彼らの時代がすぐに来るだろう。








