中国が覇権を奪い日本が置き去りにされるEVバッテリー戦争の深刻度

 

【解説】

以上、現在の電気自動車のバッテリーとして使われているリチウム電池にも大きく3種類あり、資源と安全性の関係から脱コバルトの方向に向かっていることがわかります。

もちろん、日本のパナソニックも脱コバルトのリチウムイオン電池の開発を進めています。

しかしながら中国はさらにその先に行こうとしています。

CATLは、リチウムイオン電池に代わる新しいナトリウムイオン電池を開発しています。

 

CATLの創業者兼会長は、この新技術により、試作品の電池パックは1kgあたり160Whのエネルギー貯蔵容量を実現し、次世代製品の密度は1kgあたり200Whを超えると予想しています。

 

7月下旬に行われた説明会で、会長は「当社には5,000人以上の研究スタッフがいて、新技術の開発に専念しています」と述べました。

 

その試作品の航続距離は、すでにLFP電池(コバルトを使わないリチウムイオン電池)に匹敵するものとなっています。

 

CATLは中国政府の支援も受けることになりそうです。

 

工業情報化省は8月下旬、二酸化炭素の排出量を2060年までに排出量をゼロにするという国家目標の達成に向けた全体的な取り組みの一環として、商業化を促進するための政策支援を行うと発表しました。

【解説】

現在、日本が技術的な優位をもつリチウムイオン電池に代わるものとしてナトリウムイオン電池を中国が国家をあげて開発するとの記事でした。

リチウムイオン電池に必要なリチウムおよびコバルト資源の偏在性・希少性と電気自動車市場の急拡大にともなう需要増加を考えれば、ナトリウムイオン電池の開発は確かな方向性なのでしょう。

大和証券キャピタル・マーケッツの公益事業・再生可能エネルギー調査部は、「ナトリウムイオン電池の商業的な大規模導入は、今後2~3年以内には非常に見込みにくい」と述べています。

しかし10年後はわかりません。

そんな中、米国からはテスラ自身がバッテリーの開発も行うとの発表がありました。

バッテリーを供給しているパナソニックや韓国企業はもちろん、本記事の中国CATLも大きなショックを受けたでしょう。

日本経済をささえてきた自動車メーカーおよびその基幹要素技術の将来。

安心してみていられるものではありません。

(メルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』 10月31日号より一部抜粋)

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大澤 裕この著者の記事一覧

・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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