遂にヤフーさえ撤退。中国という“規制地獄”から続々と逃げ出す外国企業

 

こうした中国で知り得た情報を国外に持ち出さないという規定は、報道機関についても適用されていくでしょう。中国で知り得たウイグル人弾圧の情報、中国共産党幹部のスキャンダルなどの記事をメールで配信すれば、これらの法律で罰せられる可能性もあるわけです。

先日のメルマガでも書きましたが、現在の中国では「文化大革命2.0」とも言うべき、言論や教育、経済活動への統制強化が行われています。習近平政権への批判封殺、反対分子の弾圧により権力集中を進め、独裁体制をさらに強めようとしているわけです。もちろん、データの規制管理の強化も、その一環です。

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かつて毛沢東の文化大革命の時代にも、徹底的な社会の統制がおこなわれました。言論や情報統制は言うまでもなく、それに違反した者たちは吊るし上げられ、処刑されました。もちろん海外への情報流出は死刑に値する大罪でした。当時の中国は「竹のカーテン」と呼ばれる、情報鎖国状態だったのです。

この頃、1968年に日中記者交換協定が修正され、中国敵視政策を取らない、「2つの中国」をつくる陰謀に参加しない、日中関係回復を妨げないという3つの項目厳守が決められたのです。これに反したと目されたメディアは、中国に支局を置くことを禁じられ、追放されました。

そのため、朝日新聞などの左派メディアは文化大革命を礼賛し、日本国内での学生運動や新左翼の運動に影響を及ぼしたわけです。

現在の習近平政権もすでに海外メディアに対する報道規制を強めています。中国外国人記者クラブは11月2日、北京冬季五輪に関する外国人記者の取材活動が中国の組織委員会によって妨げられているという批判声明を公表しました。声明では、五輪関連の記者会見は国内メディアのみに認められ、外国メディアには認められていないとし、中国側のこうした行動はIOC憲章の規定違反であり、北京五輪関連において報道の自由を確保するという中国自身の公約に反していると非難しました。

北京五輪、中国の組織委員会側が取材を妨害-外国人記者クラブが主張

中国が再び竹のカーテンをつくろうとしていることは明らかです。さすがに毛沢東の文革時代のように、あからさまに現在の中国を礼賛するメディアはほとんどいないと思います。しかし、政界や経済界、そしてマスコミにもまだまだ媚中派は多く存在します。中国側が情報を統制し遮断しようとしているのに、なぜまだ「中国市場は大事」「中国との関係改善を急げ」などと言えるのか不思議です。

中国から外国企業が撤退し始めている背景には、儲からなくなっているという事情もあるでしょう。アメリカの大手スーパーのウォルマートは、2016年に中国のネット通販事業から撤退しました。2019年9月には、アマゾンが中国向けネット通販事業を撤退しました。いずれも、中国のネット通販最大手であるアリババ集団や京東集団などに対抗できなかったことが理由だとされています。

アマゾン、中国向けネット通販事業撤退へ

中国は改革開放以後、外資を招き入れる一方で、外国の独資を認めず、中国企業との合弁を義務化してきました。その結果、外資の技術が盗まれ、現在では中国企業が国内で伸長し、外国企業の出る幕がなくなりつつあるわけです。

これは、早くから中国に進出した台湾企業の二の舞でもあります。台湾企業も中国で技術や資金を根こそぎ奪われ、ほうほうの体で台湾に戻る経営者が少なくありません。

そして習近平政権は、そうやって肥えた中国の民間企業を、国有企業化しようとしています。アリババやテンセントへの介入はその証です。

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