安倍氏は大激怒。それでも親中派・林芳正氏を外相に就かせた真の黒幕

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自民党幹事長に就任した茂木敏充氏の後任として、第2次岸田内閣の外相となった林芳正氏。かねてから首相の座への意欲を隠すことのない林氏の要職への起用については各所から様々な声が上がっていますが、安倍晋三氏が不快感を示しているとも伝えられています。その理由はどこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、当案件の「キーマン」になったと囁かれる麻生太郎氏の思惑を推測しつつ、その裏事情を探っています。

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安倍氏を怒らせた「林外相」人事の黒幕は麻生氏か

林芳正氏の外務大臣就任に対し、右派論壇から反発の声があがっている。就任と同時に日中友好議連の会長を辞任したが、親中派であることには変わりない。

2019年5月、日中友好議連会長として訪中したさい、林氏は中国高官にこう語った。「現在の日中関係は麗しくハーモニーがある状況になっている」。

前年の10月、7年ぶりに安倍首相が中国を公式訪問し習近平国家主席と会談したが、それをもって日中関係が改善したとは言い難い。尖閣諸島周辺の領海内に中国公船が侵入するなど、東シナ海の緊張は相も変わらず続いている。にもかかわらず、甘い言葉で北京に擦り寄ろうとする。

そんな人物の外相起用は、中国との対立を深める米国などに誤ったメッセージを与えかねない、というのが反発の理由だろう。

安倍晋三元首相も、林外相の誕生を快く思っていないといわれる。もっともこちらは、林氏の対中姿勢だけではなく、別の深いワケがありそうだ。

なにしろ、安倍氏と林氏との間には、選挙区の問題が横たわる。安倍氏は衆院山口4区。林氏は同3区で、参院から鞍替え立候補し、宿願をかなえた。二人は今回の選挙でこそ、うまく棲み分けができたが、次回はそうはいかない。「一票の格差」を是正するため、次回の衆院選から、15都県の選挙区で「10増10減」の見直しが行われる見通しだ。

山口県は、現在4つある選挙区が3つになり、自民党は公認候補者を1人減らさねばならなくなる。1区は高村正彦元副総裁の地盤で、今回の選挙では長男の高村正大氏が当選した。2区は安倍氏の実弟、岸信夫氏が2012年以来、連続当選している。

3区は林氏で4区は安倍氏。定数3になったら、いったい誰が公認を外されるのか。当然、安倍元首相とすれば、地盤の重なる林氏を蹴落としたいに違いないのである。地元の主導権争いの相手であるのはもちろん、権勢を保っていくうえでも最大の敵になると予想されるからだ。

林家は安倍家と同じ、下関を根城としている。1717(享保2)年創業の醤油製造業・大津屋を営むとともに、下関市に本社を置いて路線バスを運行するサンデン交通株式会社の経営に携わってきた。下関には、表向き安倍晋三支持でも、実は“隠れ林派”である人が多いといわれる。

そのうえ、林氏は衆院山口3区への鞍替えを念頭に、3区内の宇部市や萩市などで地歩を固めてきた。2017年の萩市長選では自民党推薦の現職に対立する候補を支援、20年の宇部市長選では元秘書を支援して、いずれも当選させている。

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