竹内栖鳳の「班猫」にそっくりなキジネコと暮らし感じていること

 

このキジネコがとにかく悪い。その類稀なる運動能力を余すところなく悪さに使うのである。ポケットサイズの頃である。カーテンに両の手の爪を立ててつかまり、体と足を左右にスウィングしながらその勢いで左・右・左・右と手と爪の力だけで上に上にどんどん上って行くのである。上まで行きつくとどうしようもなくなり「ニャーニャー」鳴いて助けを求める。抱いて下ろしてやるとまた上る、こんな調子である。

箱と見れば中身も確かめず飛び込み、紐と見れば辺り構わずじゃれつく。いつだったか体にビニール紐が絡まったままベッドの脚の周りを猛スピードでグルグル回り、挙句首が絞まりかけて「グェグェ」言っていたこともあった。極めつけは、大枚はたいて購入したカーボンファイバー製の自動車部品を爪とぎに使い、炭素の繊維をケバケバにしてしまったことだろうか。

それでもやはり憎めないところがあるのがネコというもので、こうしている今も私の膝の上に乗って「ゴロゴロ」喉を鳴らしている。これを鬱陶しがって押しのけたりしようものなら今度はキーボードの上に寝転がって書いている文章をたちまち解読不能の文字列だらけにしてしまうのである。まったく仕様がないネコである。

この前、予防接種を受けさせるために動物病院に行った時「このネコ、人間で言ったら何歳くらいですかね?」と聞いてみた。対応表によればちょうど自分と同じ歳であった。確かに最近高い所へ上るのもそこから飛び降りるのも以前よりは慎重に行っているように見える。体型もすっかり福々しくなって、歩いている姿を真上から見ると戦艦大和みたいなシルエットである。それでも日に1回くらいは「班猫」を見せてくれる。

ついこの間まで子ネコだったのに、もう自分の歳に並ばれてしまった。きっとすぐに追い抜かれてしまうことだろう。「人ばかり久しきはなし」(『徒然草』「第七段」)と改めて思うのであった。

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image by: 竹内栖鳳, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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