遠ざかる習近平の夢。世界各国から聞こえる中国「覇権奪取」へのブーイング

2021.11.30
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中小国でも強まる反中国の動き

また、バイデン政権は日本とインド、オーストラリアと自由で開かれたインド太平洋の実現のため中心的存在となるクアッドを強化し、英国とオーストラリアとの新たな安全保障協力オーカスを創設するなど、対中国を意識した多国間協力を進めている。

さらに、秋になり、EUやフランス、オーストラリアの閣僚級が相次いで台湾を訪問し、蔡英文氏と結束を強めるなど、習政権が描くパクス・シニカはその足下が揺らぐような出来事が続いている。蔡英文総統は11月4日、訪台中のヨーロッパ議会の公式代表団と会談し、中国などを発信源とする偽の情報やサイバー攻撃に対抗するため、協力関係を深めていくことで一致した。

欧米諸国は絶対にパクス・シニカは実現させないと強い意志を持っているように映る。だが、そのパクス・シニカどころか、最近は世界の主要国だけでなく中小国からも反中国の動きが強まっている。

たとえば、チェコやスロバキア、エストニアの中東欧諸国は台湾への接近を図っている。台湾の経済視察団は10月20日から10日間の日程で上記3カ国を訪問し、宇宙産業、触媒技術、精密工学、製品・製法開発、研究開発、投資、グリーン経済、半導体部品製造、サイバーセキュリティーなど多岐に渡る分野で関係を強化していくことが表明された。特に、台湾は半導体産業で世界的な広いシェアを持っているので、チェコやスロバキア、エストニアなどの中東欧諸国は半導体で台湾に大きな期待を抱くようになっている。

チェコやスロバキア、エストニアはもともと一帯一路による支援を受ける予定だったが、期待していた中国からの大型投資が実現せず、また、欧米主要国のようにコロナ禍で中国への不信感を強め、中国離れを加速化させている。エストニアは台湾との間で政府の代表機関を相互に設置する考えを明らかにし、中国製スマートフォンに検閲機能が内蔵されているとして国民に対して不買、処分を呼び掛けている。

チェコも大統領に次ぐ事実上のナンバー2であるビストルチル上院議長が台湾を訪問し、台湾の国会にあたる立法員で演説し、蔡英文氏と会談して結束を固めるなどしている。

おそらく、中東欧諸国だけでなく、アジアやアフリカ、中南米など各地にある中小国からも反中国の動きが今後表面化してくる可能性が高い。中国が長年進める一帯一路においても、パキスタンでは地元の武装勢力が中国権益を狙ったテロを繰り返している。

また、一帯一路の経済プロジェクトが現地の労働や生態系などの環境を破壊し、地元民からは中国への反発や抵抗の声も多く聞かれるようになっている。習政権が描くパクス・シニカはさらに現実味がなくなってきている。

image by: Alexander Khitrov / Shutterstock.com

アッズーリ

専門分野は政治思想、国際政治経済、安全保障、国際文化など。現在は様々な国際、社会問題を専門とし、大学などで教え、過去には外務省や国連機関でも経験がある。

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