遠ざかる習近平の夢。世界各国から聞こえる中国「覇権奪取」へのブーイング

2021.11.30
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欧米諸国に対して一歩たりとも退くことなく、周辺国にも圧倒的な力を誇示し威圧的な態度で接するなど、覇権奪取の野望を隠すことすらしない中国。そんな大国を率いる習近平国家主席が描く「パクス・シニカ」、すなわち中国の主導で東アジアを繁栄に導くという絵図の実現は、「風前の灯」状態となってしまったようです。今回、「世界の主要国のみならず、中小国からも反中国の声が上がり始めている」とするのは、外務省や国連機関とも繋がりを持ち、国際政治を熟知するアッズーリ氏。アッズーリ氏は記事中、チェコやエストニアといった小国が台湾の蔡英文政権との距離を縮めているという事実等を取り上げつつ、「パクス・シニカ」の現実味はもはや無きに等しいと指摘しています。

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世界から高まる反中国の声

以前、国際政治の世界では大国化する中国について、パクス・シニカという言葉が流行った。パクス・シニカとは、中国の覇権によって東アジアに平和な状態が訪れること、東アジア地域の平和・繁栄を中国が主導することを意味する。ローマ帝国の覇権による平和を意味する“パクス・ロマーナ”、超大国米国の覇権による平和を意味する“パックス・アメリカーナ”にちなんでそう呼んだわけだが、パクス・シニカはパクス・ロマーナやパックス・アメリカーナのように世界全体をカバーするものではなく、東アジアに限定される概念だ。

では、もっというとパクス・シニカとは具体的にどこを指すのか。今日の国際情勢に照らすと、習政権が核心的利益と位置づける新疆ウイグル自治区とチベット自治区、台湾や香港、そして尖閣諸島、海洋では東シナ海と南シナ海、もっといえば伊豆半島から小笠原諸島、グアムへと通じる第2列島戦内の西太平洋だろう。そのエリア内では中国が影響力を確保し、中国主導の勢力圏を強化しようというのが、正に習政権が描くパクス・シニカだ。だが、そのパクス・シニカへの道は大きな壁に直面しようとしている。

新型コロナウイルスの感染拡大から2年、新居ウイグル自治区での人権侵害、香港国家安全維持法の施行と民主派への圧力、台湾への軍事的威嚇、中印国境での断続的衝突、オーストラリアへの不当な経済制裁、新型コロナウイルスの真相解明での不誠実な対応など、世界各国の習政権へのイメージは悪化の一途を辿っている。

それによって、米中対立は米国側に多くの国が参加する形で拡大している。今年、英国やフランス、ドイツやオランダ、カナダなどはインド太平洋地域に空母打撃群やフリゲート艦などを相次いで派遣し、長期的に軍事的な関与を続ける姿勢を示している。特に、英国はインド洋のディエゴガルシア島など、フランスは南太平洋のニューカレドニアなど、それぞれインド太平洋地域に海外領土を持っているので、中国の海洋覇権には強い懸念を抱くようになっている。

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