イスラム国は中国をも敵視。米に代わってテロの標的になる習近平

2021.11.16
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米軍撤退後のアフガニスタン統治を担うタリバンと、彼らへの協力姿勢を示し続けている習近平政権。しかしその新生アフガニスタンを巡っては、中国に対する「不穏な動き」も見られているようです。今回、外務省や国連機関とも繋がりを持ち国際政治を熟知するアッズーリ氏は、米国に代わり中国がテロの標的になるリスクが高まっている現実を伝えるとともに、その背景を詳細に解説。さらに中国がタリバンとの関係強化を求めている「抜き差しならない理由」についても明らかにしています。

イスラム過激派に狙われる中国

反政府勢力だったタリバンが実権を奪還して以降も、アフガニスタンでは女性の人権やテロ、食糧危機など多くの課題が残っている。タリバンが事実上のアフガン政府となるが、中国やロシアなどはタリバンとの関係構築に積極的な姿勢を示す一方、欧米諸国の中にはタリバンを懐疑的に見る国が少なくない。

そのような中、アフガニスタン北部クンドゥズにあるイスラム教シーア派モスクで10月8日、大規模な自爆テロがあり、50人以上が死亡、100人以上が負傷した。このテロは8月31日に米軍がアフガニスタンから完全撤退して以降、最悪の被害となった。しかし、このテロ事件で注目されるのは、イスラム過激派「イスラム国のホラサン州」が犯行声明を出し、「タリバンとシーア派住民を狙い、自爆犯はウイグル人で、タリバンが中国の要求に従ってウイグル族を排斥しようとしている」と動機を示したことだ。

要は、イスラム国が中国を敵視していることが示されたのだ。2014年6月、当時の指導者アブ・バクル・アル・バグダディ容疑者がイラク・モスルで一方的な建国宣言をして以降、イスラム国はイラク・シリアで一時期広大な領域を支配したが、イスラム国のホラサン州は2015年にアフガニスタンで台頭した。実は、イスラム国が中国に敵意を示すのは今回が初めてではないが、中国はアフガニスタンを一帯一路上の要衝と考え、同国に眠る天然資源を獲得する狙いがある。

米国信用格付大手のフィッチ・ソリューションズによると、新タリバン政権の誕生となるが、アフガニスタン経済の成長率が著しく低下する見込みで、今年の成長率はマイナス9.7パーセント(以前は0.4パーセントを示したが大きく下方修正)、来年はマイナス5.2パーセントになると予測した。そのような中、たとえば、中国の産銅会社である江西銅業は首都カブールから南東40キロメートルの地点にあるメス・アイナク地区の銅鉱山(推定で1,108トンもの銅が埋蔵されている)について、今後の情勢にもよるが時期を見て開発を進めていく方針を明らかにしている。他の中国企業もアフガニスタンでの活動、展開を今後進めていくとみられる。

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