自覚はしているのだけれど、会話の中につい余計な一言を加えてしまうばっかりに人間関係がうまく行かないという悩みを持つ方、少なくないようです。そんなタイプの読者から寄せられた、「友達や彼女ができないのも、かような性格に起因しているのでは」との相談にユニークな解決法を提示しているのは、iU情報経営イノベーション専門職大学教授を務める久米信行さん。久米さんはメルマガ『久米信行ゼミ「オトナのための学び道楽」』で今回、自身も人と接する際に普段から意識しているという「3つの心がけ」を紹介。さらに友達や彼女を作るための「一工夫」も伝授しています。
オトナの放課後相談室「ひと言多い性格との付き合い方」
Question
昔から空気が読めないと言われてきました。
中でも思ったことをすぐ口にしてしまうので、「ひと言多い」と周りから言われます。
具体的には、友達の新居に招かれた時に「すごい遠かったけどいい場所だね」とか、会社の飲み会で上司が得意気に披露したモノマネに対して「素人にしてはうまいですね」とか、褒め言葉の前に、高頻度で打ち消すような言葉をいれていると、仲がいい友人から指摘されています。
自分的には褒めているつもりなのですが、無意識にネガティブな感想を入れているようです。
最近は、友達が少なかったり、彼女ができないのはこの性格も影響しているんではないかと気にしています。
何かいいアドバイスがあればお願いします。(東京都・31歳、男性)
久米さんからの回答
「分析脳」をOFFにして、「質問脳」と「褒める脳」で相手が喜ぶ短い褒め言葉を
よくわかります。ご自身の心の中では悪気はないのですよね。でも、ついうっかり…。
私も、心のリミッターが外れた自宅での家族との会話では、あまりの毒舌ぶりに驚かれ注意されるので、本来はアドバイスをする資格が無いのです。
とは言え、だからこそ仕事やSNSなどのおつきあいモードの時には、心がけていることもありますので、お伝えいたしましょう。
■心がけ1:「分析脳」をOFFにして、相手の好みに集中
ご自身は、「空気が読めない」と謙遜されていますが、おそらく人よりも言わば「分析脳」が発達していて「素直」なのだと思います。「すごい遠かった」というのは無意識に距離と時間を計っていたからでしょうし、「素人にしては」というのも客観的に評価していたからでしょう。
こうした客観的な「分析脳」の働きは、仕事の質を高めるのには大変有効ですが、人付き合いでは妨げになることも少なくありません。
「分析結果」は横に置いて、「目の前の相手が言ってほしいこと、喜ぶこと」を短く伝えることが大切なのです。
ですから「分析脳」は、人付き合いの時はあえてOFFにしましょう。慣れれば、むしろ、人付き合いの時に余計なことを考えなくなって、ストレスも減るはずです。
■心がけ2:「質問脳」をONにして、相槌を打つ
それでは「相手が言ってほしいこと、喜ぶこと」は何なのか?第六感が働く対人感受性が鋭敏な人は別として、相手に訊いてみるのが一番早いのです。つまり「質問脳」をONにするということ。
例えば、友人の新居のケースなら、「いいところだね。どうやって探したの?どこが気に入っているの?」と訊けば良いのです。そして、その答えに相槌を打てば、即ちそれこそ相手が言ってほしいこと、喜ぶことなのです。
もしも「駅から遠いし、駅近くにも候補はあったけれど、この静かな環境と眺望が気に入っている」というような答えであれば、「そうだよね。この静けさと眺めは何ものにも代えがたいよね」と相槌を打てば喜ばれるはず。
上司のモノマネのケースでは、「どうやって練習したのですか?」と訊いた答えが「Youtubeで練習した」だとしたら「Youtubeだけで、あれだけうまくできるのですか!」と驚きながら相槌を打てば良いのです。