「自分のことが嫌い」と言う子が生み出してしまう“危険な行動”2つ

 

「自分が嫌い」という子どもは、少なくない。表面的にスタイルで答えているのではなく、本当にそう思っている子どもが結構いるのである。大人ならもっと多いかもしれない。

これは、根源的に不幸を生む。存在を否定すること以上に辛いことはない。

この強い意識は、大きく二つの方向へ行動を促す。

一つは、自分と他者を傷つける姿勢である。自分と同様に他者も無価値化しようとする。いじめや暴力・暴言の類はこの姿勢が表出したものといえる。SNSで他者からの称賛を求めたり批判するのもこの意識からである。自分の存在を肯定している人間であれば、他者からの称賛への関心をもたず、他者への攻撃もしない。

もう一つは、自分自身の「できる」を追い求める姿勢である。「できる」「役立つ」ことにより自分の存在価値を高めようとする。しかしこれはどんなに成果が上がっても、根源は満たされない。自己有能感による他者への優越感は、同時に危機感と劣等感を生み続けるからである(=○○ができない自分には価値がない)。一見優等生が突然「プツッ」と切れたように無気力化するのもこれである。私が「100点をほめるな」と言い続けているのはこのためである。

これらは、大人にこそ当てはまる。大人の姿勢が子どもにそのまま映る。なぜなら「命はつながっている」からである。

子どもが自分を嫌いな根本は、大人が自分を嫌いだからという可能性がある。子どもへ「自分大好き」を求めること自体は間違っていない。しかし、それ以前に大人である私たち自身が、自分の存在への肯定をする必要がある。それができない以上、子どもが自分を好きになることは難しいし、他人に優しくなることも難しい。

何かがある・ない、できる・できないに関わらず、自分がそこに存在していていいという感覚。なぜ自分がそう思えないかを自問することで、見えるものがあるかもしれない。

image by: Shutterstock.com

松尾英明この著者の記事一覧

『まぐまぐ大賞2014[無料部門]教育・研究』の大賞受賞メルマガ。実践例を通して、教育観を磨きながら、具体的な手法にもふれていきます。「教育を志事にする」を信条に、真に役立つ実践的な情報だけを厳選してお伝えします。教育関係者を中心に、子どもに関わる全ての方々に向けて発信します。登録・解除ともにすぐできますので、ご一読よろしくお願いいたします。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術 』

【著者】 松尾英明 【発行周期】 2日に1回ずつ発行します。

print
いま読まれてます

  • 「自分のことが嫌い」と言う子が生み出してしまう“危険な行動”2つ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け