軍事アナリストが提言する、台湾「邦人避難」計画と自衛隊法改正

 

このような展開だと自衛隊の投入は必要ありませんが、船舶を使った避難に間に合わず、取り残された邦人が出た場合、そして自衛隊の活動が紛争に巻き込まれないと思われる場合、台湾側の了解のもと、自衛隊の輸送機と大型ヘリを投入し、日本側の島に避難させることになります。

また、中国側のハイブリッド戦の動きの中で台湾国内に不穏な空気が立ちこめ、邦人避難が必要だと判断された場合、手遅れになったアフガニスタンからの退避の轍を踏まないよう、まずは民間のチャーター機で多くの邦人を退避させ、やはり台湾側の了解のもとに自衛隊の輸送機と大型ヘリによってピストン輸送することになります。

自衛隊法の改正は、上記のような事態を想定して実効性のある内容で行い、同時に台湾側の了解を得ておく必要があります。武器の使用も、各国の交戦規則(ROE)などを参考に、整備しておくべきです。

むろん、日本、台湾、米国はリアルタイムで情報を共有する体制を構築しておき、ハイブリッド戦の兆しが感じられたら、場合によっては自衛隊と日本を拠点とする米軍部隊が日本と台湾の国境に緊急展開する能力を、日常的な訓練によって中国側に見せつけておき、台湾や日本の離島への手出しを躊躇わせるようにしておくことが基本であることは、いうまでもありません。(小川和久)

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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