ヤフコメごときに踊らされる日本。「コロナ鎖国」が母国を滅びへと導く

 

それともかくとして、今後の判断ですが、こちらは次の3つの見極めが重要になってきます。

1つは、仮に英国の死亡12名が「未接種」もしくは「基礎疾患」であり、依然としてデルタとの比較では「オミクロンは弱毒」となった場合ですが、その場合は国境を速やかに開ける判断が重要になってきます。

もう1つは、オミクロンが「感染力は強い」中で「デルタ並みの危険性」を持ち、全体としては相当な脅威だという場合です。その場合は、英国あるいは米国等のデータを根拠に、「ブースター(3回目)加速」の実務を回していく、特に堀内担当大臣には「地方の現場への忖度」ではなく、「加速への突破力」を示していただきたいと思います。

もう1つ、最悪のシナリオとしては、オミクロンが「感染力強」であり、同時に「デルタ以上の強毒性」があり、なおかつ「現状のワクチンの効果が限定的」という場合です。その場合は、ワクチンを修正して「オミクロン対応バージョン」にアップデートしたものを「ブースター」で使うということになります。この場合は、現状のロジは全部「やり変え」になりますから、それこそ丸1年前の河野氏と同じような実務上の「全く新しい突破力」で進めないといけません。

この3つのシナリオのどれになるか、世界的な動き、そしてその根拠となる信頼できる科学的なデータについては、恐らく今週中あるいは最悪でも年内に見えてくる可能性があります。岸田政権がどのような判断をし、どのように世論と対話するのか注視して参りたいと思います。

ここまでは12月第3週のリアルタイムの話です。ここからは、もう少し広い視野での議論になります。

しかしながら、そろそろ丸2年になろうとしているパンデミック期間を通じて、日本の国境が事実上閉ざされてきたことの影響は大きいものがあります。5つ挙げたいと思います。

1番目は、日本発の多国籍企業の海外における活動です。多分影響は出ているのだと思いますが、こちらは影響というのは限定的だと考えられます。とにかく、研究開発やアドミ、企画、デザインといった基幹部門まで多くの機能を「空洞化」させているのが、現在の多国籍企業です。

そうした多国籍企業の場合は、別に「オンライン会議が得意」だというわけではなく、とにかく「日本の外でビジネスが回ったしまう」状況であると考えられます。ということは、この「鎖国」をしている期間に「空洞化」は更に加速していると考えられます。

例えば、トヨタ自動車は豊田章男社長が、12月14日に「2030年までに全世界で30車種の100%EVの車を発売、台数ベースでは350万台(/年)を販売する」とブチ上げました。日本では並べられたモックアップ車両を見て「いきなり15車種?」などと盛り上がっていました。

ですが、社会の現状が変わらないのであれば、この30車種のほとんどは海外で生産され、海外で販売されることになります。日本のGDPとは関係ない話になっていくのです。理由はたくさんあり、「日本の化石燃料混入のエネルギーで作った車は汚れていて売れなくなる」「日本のEVインフラは初期型が老朽化する中でむしろ停滞」「EVは軽四より高価であり、日本の市場には十分な購買力がない」というどれも悲劇的な理由からです。

とにかく、トヨタが「水素を横に置いて、EVシフトを進めている」ということは、そのまま生産拠点、消費市場の両面から「日本を捨てる」ことに他なりません。

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