自滅にむかう中国
一方の中国はどうでしょうか?これは、習近平「二つの失策」で自滅にむかい始めました。「二つの失策」とは何でしょう。
一つは、「戦狼外交」。中国は、どの国に対しても強硬なのです。それで、どんどん敵が増えています。思い出してください。「AIIB事件」があった2015年、世界の大部分の国がアメリカより中国を選びました。しかし、その後、「香港問題」「台湾問題」「ウイグル問題」「新型コロナ起源問題」などで、どんどん反中の国が増えていった。
ここ数年で、「親中」から「反中」になった国。たとえば、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリアなど。さらに、中印国境紛争再燃で、インドもさらに反中になりました。反中になったのは、いずれも強力な国です。
中国は最近、台湾大使館開設を許可したリトアニアを「ゾウの足の裏にいるネズミかノミ!」と呼び、バルト三国を敵に回しました。中国外交、万事こんな感じなので、今後ますます敵が増えていくことでしょう。
もう一つの失策は「共同富裕」です。最近、習近平は、こればかりですね。意味は、「皆で金持ちになりましょう」。しかし、実際は、「ただの金持ちバッシング」になっています。
そして、習近平は昨年、歴史的迷言によって、バブルを崩壊させました。その「迷言」とは、「マンションは住むためのもので、投資するものではない」です。怖い独裁者がこんなことをいえば、誰も不動産投資できなくなります。それで、「恒大ショック」が起こり、中国はバブル崩壊過程に入ったのです。
というわけで、2021年は、
- アメリカと中国の関係が逆転した年
- アメリカが、2009年以降初めて有利になった年
といえるのです。
2022年のトレンド
では、2022年はどんな年になるのでしょうか。
まず新型コロナ。現在オミクロン株が猛威を振るっています。しかし、ワクチンがあり、飲み薬も出てきている。2020年、2021年とは、状況が異なっています。それで、20年、21年より、ずいぶんマシになっていくでしょう。経済活動の再開が進み、世界経済、日本経済復活の原動力になります。
一方、世界経済のマイナス要因は、「中国バブル崩壊」です。「経済活動再開」というポジティブ要因を、「中国バブル崩壊」というネガティブ要因が相殺する。とはいえ、「経済活動再開」というポジティブ要因の方が強く、緩やかに回復するでしょう。
世界情勢を見ると、アメリカの反中包囲網は、ますます強化され、中国の孤立はさらに進みます。注目地域は、台湾とウクライナですね。皆さんご存知のように、ロシアは、ウクライナ国境に大軍を集結させています。これは何でしょうか?プーチンは、「アメリカは中国との戦いで手いっぱいだ。ウクライナにかまっている暇はない。妥協を引き出せる」と狡猾に状況を読んでいるのです。彼の望みは、ウクライナをNATOとの緩衝地帯として残すこと。アメリカとロシアの交渉がつづいています。
というわけで2022年の世界は、
- 反中包囲網はさらに強化され、中国の孤立化がますます進む
- 世界経済は、「経済活動再開」というポジティブ要因を「中国バブル崩壊」というネガティブ要因が相殺する。しかし、ポジティブ要因が強く、ゆるやかに回復する
- 紛争が起きる可能性があるのは、台湾とウクライナ
ということですね。
(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2022年1月4日号より一部抜粋)
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