サントリー「天然水」を清涼飲料No.1ブランドに押し上げた“外様社長”の意識改革

 

天然水工場の本体は山~全社員で森を守れ

長野・大町市にあるサントリー天然水北アルプス信濃の森工場。背後には400ヘクタールを超える広大な森があり、ここで天然水を育んでいる。こうした森をサントリーは全国21カ所で管理。専門の研究スタッフが6人いて、全国の森に飛び水質などを調査している。

この日の調査の目的は湧き水のポイントを見つけること。地形図を見て予測しながら探す。沢を渡り、獣道を進む。歩き回ること2時間、新たに見つけた湧き水ポイントだ。

毎回、異なる場所で水を汲み、水質を分析している。実はこの調査を重ねることによって驚くべきことが分かるという。それは地下水脈。森中の水質を調べることで目に見えない地下水の流れが把握できるのだ。

「地下水脈を詳細まで知ることで、それ以上の量を引っ張ってはいけないとか、今の生産状況なら何十年後、何百年後も使い続けられるとか、調べるためにやっています」(サントリー水科学研究所・鈴木健)

森をまったく別の角度から調べているスタッフもいる。ドローンを使って上空から見ると分かるのが、害虫などによる生態系の異変。これを定期的に確認しているのだ。

そんな天然水の森に大挙してやってきたのがサントリーの社員たち。全社員が一度は植林などの活動に参加することを決め、2014年から続けている。

サステナビリティ推進部の山田健は「天然水というと何となく水をくんで終わりと思われるかもしれませんが、そうではなく、山が天然水工場の本体。その本体を守っているんです」と語る。

新浪はこの「森の保全活動」にわざわざアメリカからビームの社員を呼び寄せ参加させた。すると、アメリカでもウイスキー工場がある森で生態系の調査や植林などの活動が始まった。

ビームサントリーの社員のひとりは「今後100年、自然と共生していけるシステムを作ります」と言う。新浪の意識改革はここまで進んだ。

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~村上龍の編集後記~

「やってみなはれ」という言葉には参った。当初「やってみろ」という「命令」だと思った。「あんたの好きに」という枕詞が必要だと考えた。「あんたの好きに、やってみなはれ」と続く。ところが「あんたの好きに」というニュアンスが、「やってみなはれ」に、すでに含まれていることに気づいた。発案者・企画者は、「やりたい」のが大前提だ。「それならやってみなはれ」となる。言われたほうは逃げ場がない。徹底的に追い詰められる。魔法の言葉だ。

出演者略歴

新浪剛史(にいなみ・たけし)1959年、神奈川県生まれ。1981年、三菱商事入社。1991年、ハーバード大学経営大学院でMBA取得。2002年、ローソン社長就任。2014年、サントリーホールディングス社長就任。

(2021年8月12日にテレビ東京系列で放送した「カンブリア宮殿」を基に構成)

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テレビ東京「カンブリア宮殿」

テレビ東京「カンブリア宮殿」

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