また、朝日新聞が文科省が進める研究大学強化促進事業の19大学を対象に行った調査で、5大学が「相談にあたる専任の相談員がいない」と回答。その理由として「専任を置く金銭的な余裕がない」「適当な人材がいない」などが挙げられました。専任の相談員がいる大学でも「相談員に専門の知識がない」との意見が出たそうです。
あくまでも私の実感ですが、学生の相談窓口はある程度機能している大学はあります。しかし、教員や社会人を経験してから大学院に進学した人の場合、そもそも「相談する対象」にすらなっていないように思います。
教員の中には非常勤で雇用され、就活を続けながら大学の講義をしている人も多くいます。不安かつ不安定な日々を過ごしているのに、教授から罵倒されたり雑用を強いられたり。あるいは、「1年間は非常勤で、2年目には正式雇用する」と言われていたのに、さんざん使うだけ使って、約束をなかったことにされたり。
休暇を取っただけで、「なんであなただけ取るんだ?」と叱責され、「勤務態度が悪い」と悪評を流されたり。
未来ある優秀な研究者たちの人生が、「密室」で破壊されているリアルが存在しているのです。
民間企業のハラスメント対策も十分機能しているとは言い難いものですが、対策が進んだのは、国が大規模な「実態調査」を行ったことも大きな要因の一つです。
アカハラはほとんどのケースが公開されず、和解をする代わりに「公言してはいけない」とする大学も多く、件数や被害状況などの実態はほとんどわかっていません。
メディアが継続的に実態を取り上げ、発信し続けることで、社会の関心が高まり、国が動くことがある。私もできる限り、メディアで具体的なケースの発信をするつもりですが、大手メディアには是非とも頑張って、国に「大規模調査をやる」と言わせてほしい。
大学という「教育の現場」で、ハラスメントが存在し、隠蔽されるのは許されることではないと思います。
みなさんのご意見、お聞かせください。
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