やってる感アピールに辟易。岸田首相「指針演説」にチラつく安倍氏の影

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17日に招集された通常国会で施政方針演説に臨んだ岸田首相ですが、その語り口を含むすべてが一国を任せるに足るものではなかったようです。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、首相の演説内容を紹介しつつ「無神経で無責任かつ消極的にすぎる」と酷評。さらに演説の中に勝海舟の言葉を引いた首相に対して、厳しい注文をつけています。

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新しい資本主義という幻

1月17日、第208通常国会が召集され、岸田文雄首相は衆参両院本会議で、就任後初の施政方針演説を行ないました。あたしはインターネットの中継で初めから観ていましたが、舌足らずの幼稚園児のようなしゃべり方の安倍晋三元首相、ロレツの回らない酔っ払いのようなしゃべり方の菅義偉前首相と比べると、滑舌良くハッキリ分かる日本語がしゃべれるだけでも「いくらかマシか」という印象でスタートしました。

しかし、あたしの予想は冒頭からハズレてしまいました。この日は阪神淡路大震災から27年目の日であり、当時の被災地では各所で追悼の集まりが行なわれました。あたしも発生時刻の午前5時56分、黙祷を捧げました。このような特別の日なので、岸田首相の施政方針演説は、阪神淡路大震災の犠牲者への追悼の言葉から始まるとあたしは予想していました。

しかし、残念ながら、岸田首相の口からは、犠牲者への追悼の言葉はひと言もありませんでした。また、前日のトンガの海底火山の噴火に対するお見舞いの言葉も、噴火にともなう津波(海面上昇)によって漁船が転覆するなどの被害を受けた日本人への言葉も、いっさいありませんでした。

その代わりに岸田首相の口から出たのは、新型コロナに感染して苦しんでいる人たちへのお見舞いの言葉と、新型コロナ対応の最前線で働いている医療機関や介護施設の人たちへの感謝の言葉でした。そして「岸田政権の最優先課題は新型コロナ対応です」と断言したのです。

あたしは思わず「はぁ?」と言ってしまいました。確かに、感染して苦しんでいる人たちは大変だと思います。しかし、新型コロナで苦しんでいるのは、感染者だけではありません。外食産業を筆頭に様々な業種が大打撃を受けており、新型コロナを理由に職を失った人も数えきれないほどいます。

2021年11月10日配信の第142号のこのコーナーで取り上げましたが、若い女性の自殺者は前年同月比で80%超も増加し、その大半が「新型コロナにより職を失い生活に困窮したことが原因」なのです。あたしも、この2年間、本職であるブライダルのヘアメイクの仕事がほぼゼロになり、収入は激減しました。しかし、あたしはミュージシャンや役者などと同じくフリーランスなので、何の公助も受けられません。

【関連】女性自殺者の急増を隠蔽する自公政権の姑息。80%超「増加」の真相

これほど多くの国民が新型コロナで苦しんでいるのに、感染者以外にはひと言もなし。新型コロナによる生活困窮者に触れてしまうと、野党から岸田政権の失策を指摘されるので意図的に避けたのでしょうが、一国の首相としては、あまりにも無神経で無責任だと思います。

さらには、二転三転しながら直前まで何も決められない優柔不断な対応を「一度決めた方針でも躊躇(ちゅうちょ)なく改める柔軟な対応」などと言葉の言い替えで自画自賛する始末。その上、具体策として「医療関係者と高齢者への3回目のワクチン接種の前倒し」を挙げるとともに「5,500万人の一般向け接種も、少なくとも7カ月、余力のある自治体では6カ月で接種を行います」と明言したのです。

肝心のワクチンがいつまでにどれくらい用意できるのか白紙状態なのに、どうしてこれほど無責任なことが言えるのでしょうか?これはどう見ても「やってる感」をアピールしただけの「絵に描いた餅」です。全国の自治体からも「いつまでにどれくらいのワクチンが届くのか、未だに一度も連絡がないので困惑している」との声が相次いでいます。何もやっていないのに「やってる感」のアピールだけは忘れない。安倍政権からの伝統芸ですね。

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