心をえぐる「生きてるだけマシ」阪神淡路“震災障害者”が負った体と心の傷

 

震災などの自然災害が起こると、「死傷者」の数は何年にも渡り報道され続けます。

「阪神淡路大震災では、建物の倒壊や火災などが相次ぎ、その後の災害関連死も含めて、6,434人が亡くなりました」と。

しかし、「震災で負傷した人のその後」が報じられることはありません。普通に考えれば、家屋の下敷きになれば、生死を彷徨う経験をし、後遺症が残るのが当たり前なのに、「命があれば」という悪意なき美しい言葉に隠されてしまうのです。

私自身、障害者の人が被災したときの困難は、たびたび取り上げきました。

しかし、震災で障害者になった人たちの「今」を報じなかった。東日本大震災でも、家を失った人たちや故郷に戻れない人たちのことはたびたび発信してきましたが、震災障害者のことを置き去りにしていました。

今回、17日の夜の報道番組にVTR出演した「震災障害者」の男性を見て、申し訳なかったと反省すると共に、「震災障害者」という存在が、社会の盲点になっていると痛感しました。

クラッシュ症候群になった370人超のうち、震災から7年後に50人が死亡したと報告されている。震災障害者には、震災当日に、家屋の倒壊等により外傷を負いそれが原因で、メンタル不全になった人や県外に居住する人も、「震災障害者」にカウントされていません。埋もれている震災障害者はかなりの数になると考えられ、3,000人近いと試算する研究者もいます。

震災障害者は、体だけではなく、心にも大きな傷を受けた人たちです。

神戸市の被災者支援団体「よろず相談室」では、震災障害者が集う会を開くなどして、「苦悩を吐き出せる機会」を作ったり、情報発信を行なっています。

27年前のあの日、あの時の「私」の記憶と共に、「震災障害者」という存在を心に刻む人が、一人でも増えてほしいという思いで、今回取り上げました。遅きに失した感はありますが、「言葉=震災障害者」が社会を動かすことは往々にしてあります。

私も「震災障害者」の理解をさらに深め、発信し続けたいと思っています。

みなさんのご意見、お聞かせください。

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image by: Sean Pavone / Shutterstock.com

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