現在、抗ガン治療はガン細胞を攻撃し増殖を抑制する方式だ。この方式だと抗ガン剤耐性や骨髄機能障害、無気力などの副作用を起こす。しかしKAIST研究陣が実験室単位で究明した研究結果が臨床試験で立証された場合、ガンを糖尿病や高血圧のように慢性疾患として管理することができる。チョ・グァンヒョン教授は「これまでガンは遺伝子変異蓄積による現象であるため、後戻りはできないと思われていたが、これを正常細胞に戻すことができるという事実を究明したもの」とし「この研究はガンを糖尿や高血圧のような慢性疾患でうまく管理できるようにする新しい抗ガン治療戦略を提示した」と述べた。研究チームは10年近く研究を進めながら、スーパーコンピューターなど研究インフラを確保している。研究チームは今後、多様なガンで現在の抗ガン治療が持っている副作用と限界を克服していくものと期待している。このため、技術を検証する臨床試験を推進している最中である。
ガン細胞を切ったり焼いたりして殺すのではなくてもう一回自分の細胞に戻すという点で、これまでのガン治療、ガン研究とは全く異なったアプローチなわけだ。ガンというのは外部からの侵入でなるのではなくもともと自分の細胞だったものが、あるところからがん細胞に変化して起こる。血も涙もないこれまでのやり方(叩き切り、焼き取り、抗がん剤という毒薬でガンを叩く方法)とは180度違う方法が発見されたことは、ガン研究のエポックメーキングといえるのではないだろうか。今後どのように一般化していくのかしっかりと見極めたいところだ。皆様にもKAISTのチョ・グァンヒョン教授という名前を頭の片隅にでも記憶しておいていただければ幸いである。
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