がん死ゼロ時代の到来か。がん細胞の正常細胞変換に成功した韓国

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日本と同じく長年がんが死因のトップとなっている韓国ですが、このほど医学界に革命をもたらす可能性がある研究結果が発表され関心が集まっています。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、研究内容を伝える現地メディアの記事を翻訳し解りやすい言葉で紹介。その上でこの発見を、「エポックメーキング」と高く評価しています。

エポックメーキングな治療となるか

韓国にカイスト(KAIST=KOREA ADVANCED INDSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY 韓国科学技術院)という大学がある。学生数約1万500人、教授640人ほどの大学だ。ソウル大にも自然科学系の学部はあるが、韓国での自然科学系の最高峰と目されている大学である。ここでガンに関する画期的な研究が発表された。メディアなどの記事を参考にご紹介したい。

韓国人は期待寿命(83歳)まで生存する場合、男性は5人に2人(39.8%)、女性は3人に1人(34.2%)がガンにかかるという統計だ。韓国の死亡原因の1位はガン。統計庁が1983年に集計を始めて以来、40年近く不動の1位を占めている。ガンの発病はイコール死という等式が成立する理由だ。

2月5日、科学界によると、KAIST研究陣がガン治療に一大革命を起こす研究を発表した。多くの科学者がガン細胞だけを特異的に標的にする抗ガン治療剤を開発しようとしてきたが、KAIST研究陣は発想を転換した。ガン細胞を殺さずに正常な細胞に変換するという全く新しいアプローチだ。KAIST「バイオおよび脳工学科」のチョ・グァンヒョン教授研究チームは、10年近く研究した末、実験室単位であるがガン細胞を正常細胞に戻すことに成功した。研究チームは大腸がん・乳がん細胞を治療可能な正常細胞に変換するメカニズムを国際学術誌『分子がん研究』(MolecularCancerResearch)と『がん研究』(CancerResearch)などに掲載した。

医学界では、ガンは遺伝子突然変異で発生するというのが通説だ。ガン細胞そのものを正常な細胞に戻すことはできないと判断してきたわけだ。全世界のガン研究者がガンを誘発する特定遺伝子を捜し出す方式で抗ガン剤を開発してきた理由だ。しかし、チョ教授の研究チームは、生命現象が単一因子によるものではなく、複合的な相互作用によって起きるとみて研究を開始した。研究チームは、生物学に大規模コンピューターシミュレーション、数学モデリングなどを融合して、「システム」という観点からガンに接近した。その結果、ガン発生過程で臨界転移現象が起きる事実を初めて究明した。臨界転移現象とは、水が100度という臨界点から液体が気体に転移するように、ガンも遺伝子突然変異を重ねて臨界点に到達すればガンに転移するという事実だ。臨界点前までは遺伝子突然変異があってもガンにかからないというわけだ。研究チームは大腸ガン・乳ガン細胞を正常な細胞に変換できる核心因子を大挙発見した。大規模なコンピュータシミュレーションを通じて、約2万あまりの遺伝子の相互作用で細胞機能をすべて分析した結果だ。

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