博士号を取得しても年収200万以下。「高学歴ワーキングプア」量産のナゼ

 

…日本はほとんどの分野で、世界最低を爆走中です。コロナ禍で“有能人材”という言語明瞭意味不明の若手を求める企業も増えていますが、ポスドク問題の解決の糸口になるとは到底思えません。そもそも国の政策に一貫性がないのです。教育は国の土台を作る「人」への最大かつ最良の投資なのに、“その場しのぎ”の政策ばかりがはびこっています。

例えば、リカレント教育を推進し、「大人の学び直し」の入口を広げているのに、学費の援助がない、学振は若手しか相手にしない、博士号取得者=若手が前提など、政策の矛盾があちらこちらに散見できます。

また、若手でも就職先は限られていて、行政機関で博士号取得者が有効活用されているとは言い難い現実もあります。出産や育児のサポート体制も脆弱だし、専門知識が持ち腐れになっているのです。

さらに、件の自由記述にもあった通り、教員公募は表向きだけで、内実はどこの誰の研修室に在籍するか次第で決まるといっても過言ではありません。私自身、大学の閉鎖性には辟易しましたし、海外の査読付きジャーナルの原著論文すら持たない人が「教授」として採用される不可解を目の当たりにしてきました。

日本が昭和期に世界的に躍進したのは、明治時代の教育にあったことは周知の事実です。ノーベル賞受賞者が量産されたのも、昭和初期の教育にあったことは疑いの余地もありません。そもそも「高学歴ワーキングプア」なんて言葉が存在するのもおかしなこと。

コロナ禍を経験し、昨年、政府は、新型コロナウイルスなど感染症流行に対応できる医師を増やすため、大学医学部の入学定員に感染症科や救急科の優先枠を創設する方針を決めたり…。この国は一体どこに向かっているのでしょうか。教育にも、働き方にも、「理想」がない。未来の国のカタチを誰も考えていないということなのでしょう。

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