世界の分岐点にある
新自由主義の資本主義では、貧富の差が拡大して、貧困層の反乱で政府が混乱してしまうという反省で、持続可能な政治体制が必要であり、規制された資本主義を作る必要があることが、この30年程度でわかってきた。
一方、社会主義国の中国とロシアも、資本主義を取り入れたが、こちらも貧富の差が大きくなり、再度、社会主義に戻る方向になっている。
特に中国は共産党の指導と経済把握ができなくなり、再度、IT企業の自由な経営に規制をかける方向である。不動産企業の融資も絞り、土地バブルを潰している。
一時は、中国と米国が同じような資本主義になったことで、グローバル経済化が進んだが、先進資本主義国家も社会主義国家も、資本の自由を縛る統制の方向である。
しかし、先進国は、貧富の差を縮小して政治的安定と経済発展のバランスを重視した方向であるのに対して、社会主義国は一党独裁の専制主義を取り戻して、貧富の差を縮小しようとしている。
貧富の差の縮小でもその方法が大きく違い、このため、イデオロギーの違いから、経済関係も縮小方向である。特に、中国とロシアは、自国民の目を経済的な面から自民族のプライドを高める方向で、国民の支持を得る必要から、他国への侵略など、現状の変更を軍事力で行う指向がある。
この部分で先進国は、専制国に対して経済制裁を行うことで、経済が分離する方向にある。冷戦構造の再構築となる。
しかし、冷戦の経済体制では、企業利益は縮小していく。特に先進国市場を失う中国とロシアは、自国企業の利益縮小となり、経済的な豊かさを追及できずに、「共同富裕」という名の貧困の平等化になる。しかし、それでは国民の不満が解消できずに、自民族のプライドを高める自国領土復活という動きを強めることになる。
ロシアと中国だけではなく、トルコやイスラム教原理主義者なども自民族や自宗教のプライドという動きで、当分、戦争の季節を迎えそうである。
景気後退後に、戦争になると見ていたが、その戦争が早くも始まることになるようだ。
一方、米国は、中国からの安い物品がなくなり、インフレ率が上昇して、こちらも国民生活が大変なことになる。金利を上げると、景気を冷やすので、金利も十分には上げられないし、株価も下がり、可処分所得も減ることになる。
米国経済圏で安い物品を求めて、発展途上国でも民主的国家に日本や米国企業の工場を進出させて、安い製品を作らせるしかないことになる。このことで、中国企業を排除して、日米の基幹企業の復活が起きることになる。
その反対に、ブロック経済で経済規模が小さくなり、米国の巨大IT企業の収益は、今後減少すると思われる。また、中国企業も販路が発展途上国だけになり、儲けが小さくなる。
さあ、どうなりますか?
国内外の動向をリアリスト(現実主義)の観点から予測・評論する、津田慶治さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ
image by: Seneline / Shutterstock.com