ウクライナ危機は序章。中ロ「貧困の平等化」が戦争の引き金を引く

 

しかも、NATO軍もロシアのウクライナ侵攻で、ウクライナを助けることはない。ロシアに対する経済封鎖を行うしかできない。米軍も東欧に5,000人程度の追加配備しただけである。このため、大国間での核戦争にはならない。

ロシア機甲部隊が、キエフを占領するのは、最短2日程度である。その間で、どれほどの被害がロシア軍に出るのかが問題になるだけだと軍事専門家は言う。

しかし、ロシアの経済規模は日本の3分の1以下、米国の10分の1以下で、世界で12位。G7各国はもちろん、韓国よりも下回る。

ウクライナがキエフを捨てて、頑張り長期戦に持ち込むと、ロシアの経済力では、経済が持たないことになり、停戦に持ち込むしかない。その時は、「ミンスク合意」は反故にできる。そして、ロシア国内情勢も混乱することが確実である。プーチン失脚も考えられる。

このため、ゼレンスキー大統領は強気であり、そして、その裏付けは、ウクライナ国民の期待が大きいからだ。ウクライナ国内での戦争であり、ゲリラ戦になる。第2次大戦後では、初めてのゲリラ戦がヨーロッパで行われることになる。

トルコもウクライナに味方して、義勇部隊で参戦する可能性もある。トルコのエルドアン大統領の希望であるオスマントルコ帝国の復活の道筋が見える可能性も出る。

トルコ系住民が多いクリミア半島分割ということだ。クルミア戦争後で、トルコが再度領土にできる可能性が出る。その意義は、非常に大きい。

米国が積極的に動くのも、ブリンケン国務長官が、ウクライナ系の人であることの影響しているが、世界的な潮流を変えることができることが大きい。

そして、米国は、現時点でキエフを捨てて、西部に大使館を移した。ウクライナでの戦争が泥沼化すると、ゲリラ戦になり、その補給を可能にすることで、ウクライナを支援することになる。

米軍には損害がないので、国内の反戦活動も起きないで、ロシアが疲弊するだけである。その上、いらない兵器や弾薬を援助という理由で、ウクライナに供与できる。在庫一掃だ。

米軍事産業は大きく儲かる。新兵器の実験場もできる。米国の景気浮揚策もできる。2兆ドルのインフラ整備の予算も通らないが、戦争経費は通ることになる。

そして、ロシア衰退で中露の経済力を落としておくことは、今後の中露対欧米日の対決では有利になると見ているはずだ。世界戦略を見た大きな括りで見ている。

しかし、トランプ前大統領は、これはヨーロッパの問題であり、米国は手出ししないという。米国を再度、モンロー主義にしようとしているが、EUは関与してほしいので、米国の今の方針に従うしかない。

ここまで来ると、良いとか悪いとかの議論をしないで、両方の現状をリアルに見る必要がある。この戦争の結果、世界はどうなるのかを見ることである。視野を大きくしてほしい。

国内外の動向をリアリスト(現実主義)の観点から予測・評論する、津田慶治さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

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