文在寅“逮捕”にまた前進。韓国大統領選で野党候補の一本化成功

 

3日午前8時に予定通り尹錫悦と安哲秀がいっしょの場に立って「一本化」合意を公にした。安哲秀はこれまで、名前の哲秀(チョルス)と撤収(チョルス)が韓国語では発音が同じこともあって常に「チョルス政治」(つまり撤収政治)などと皮肉を言われてきた。前回の大統領選挙では文在寅との単一化を図ったり、ソウル市長選挙ではパク・ウォンスンに譲ったりした。その他数回、常に途中で自分は撤収(チョルス)して相手に任せる形(つまりチョルス政治)をやってきているので、みんなからチョルス政治、チョルス政治とばかにされてきていた。今回もはやくチョルス政治をやれ、という雰囲気がずっとあった。だからたぶん彼の奥さんが今回だけは最後まで貫徹しないとまたばかにされる、ダンナ安哲秀の選挙日(3月9日)までのレース継続を主張していた模様だ。ダンナが奥さんの意見を聞くのは大賛成なのだが、それも時と場合による。これほどまでに頑なだった安哲秀がなんで突然一本化(つまり自分はチョルス=撤収する)の気持ちになったのかはまだ深いところまでは誰にもわかっていない。彼の内実はともかく、尹錫悦への支持を表明し尹錫悦一本化で行くことになったことだけは事実だ。午前8時の記者会見では、2人ともほとんで寝てない状況だったと思う。尹錫悦のほうは最大の動力を得ることになったゆえ顔は輝いていたが、安哲秀のほうはどことなく目が魚の目のような感じだった。ぼーっとしていた。でも、尹錫悦と力を合わせてよりよき大韓民国を作っていくために一本化に合意したという簡単な演説文を読むときには、その声には力があった。

尹錫悦はこの記者会見後、天安(チョナン)での遊説の予定が入っていた。午前10時半ごろ天安に彼は現れた。おそらく本当に昨日から今日にかけて一睡もしていないはずだ。朝ごはんもどこで食べてきたのだろうか。車の中で食べてきたとしか思えない。ちょうど筆者がこの天安に住んでいて、遊説の場所が歩いて7分ぐらいのアラリオ広場であったので、筆者も朝ごはんを食べコーヒーを飲むとすぐに出かけた。記者会見(質疑応答までやっていたから)から遊説の時間までそれくらい時間のない状況だった。尹錫悦はソウルから天安にやってきたわけだが、車で一気に来ても1時間はかかる。朝めしは移動の車の中で食べてきたのであろう(朝めしをどうやって食べようと重要なことではないけれど、どうも筆者はつい、気になってしまう)。遊説の台に上った尹錫悦はいたって元気だった。顔色もいい。天安の市民も大挙して尹錫悦の応援に集まっていた。オミクロンが猛威をふるっている時期ではあるのだけれど、みんな尹錫悦の生の姿を見ようと尹錫悦が台の上にのぼると演説台のほうにぐっと押し寄せるのだった。筆者ももみくちゃになりそうだったので、間一髪でするすると人波をかき分けて後ろのほうに陣取ることができた。「この腐りきった政権を立て直すために天安の皆さん、よろしくお願いいたします」と尹錫悦とが力強く言うと、人々も「ユン・ソンヨル、ユン・ソンヨル!」とユン・ソンヨルコールを繰り返すのだった。人々の熱気は熱い。結果が出るまで気を緩めることはできないけれど、明日からはじまる事前投票(4日、5日)と3月9日の本投票まで、尹錫悦は気分のよい全国行脚を続けることができることとなった。この勢いで政権交代ができることを祈るばかりだ。

(無料メルマガ『キムチパワー』2022年3月3日号より一部抜粋)

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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