東日本大震災から11年。孤独な心に閉ざされた被災地高齢者たちの叫び

 

若い時ならまだしも、年を重ねてからでは、つながりを作るのも大変な作業です。結果的に、人とふれ合う場も時間もなくなり、会話も途絶えた。心が温まるつながりが、奪われてしまったのです。

NPOやボランティアの人たちが、イベントなどを企画しても、参加する人は少なく、一軒一軒周って声がけをしても、「もう、年だからね」と心の扉を閉ざす人も多くなりました。

仮設住宅の時も、「あれ?これって半分、ボランティアじゃない?」というイベントはありましたし、むしろそういう時の方が多かったのは事実です。

しかし、たとえ少ない人数でも参加してくれる人がいると、それがきっかけとなり、また、一人、二人と仮設の人たちの輪が広がっていきました。

「話しのネタのある」ことが、つながりを生んだのです。

「誰かが来てくれる。自分達は忘れられていない。それだけでも嬉しいんだよ」ー。こう言ってくれる人たちもいました。

ところが今回のコロナ禍で、通い続けた人たちが行けなくなり、やっと戻り始めた観光客も来なくなった。

残された人たちは、一つ一つ年を重ね、70歳だった人は81歳になり、80歳だったおじいちゃん、おばあちゃんは91歳です。

本来であれば、孫やひ孫と笑いながら、人生の最終章を送れた人たちが、一人きりで、テレビの音だけが鳴り響く部屋で、ご飯を食べている。

「毎日のように葬式がある」という悲しい現実を、女川や福島の知人から何度も耳にしました。

年をとってくると、昨日までできていたことができなくなったり、もの忘れも増えます。

「私なんてこないだ○○をわすれちゃったよ」と愚痴を言い「あらあら困ったね」と、一緒に笑い飛ばしてくれたり、一緒に困ってくれる人がいるだけで、ちょっとだけ安心することもできるのにそれが出来ない。

この現実を少しだけイメージしてほしいのです。

3月11日金曜日、その1日だけでもいいので、「あの日」のことを思い出していただきたいのです。それが何の役にも立たないとしても・・・です。

みなさんのご意見を、ぜひ、お聞かせください。

時事ネタ社会問題に鋭く切り込む河合薫さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

image by: Shutterstock.com

河合 薫この著者の記事一覧

米国育ち、ANA国際線CA、「ニュースステーション」初代気象予報士、その後一念発起し、東大大学院に進学し博士号を取得(健康社会学者 Ph.D)という異色のキャリアを重ねたから書ける“とっておきの情報”をアナタだけにお教えします。
「自信はあるが、外からはどう見られているのか?」「自分の価値を上げたい」「心も体もコントロールしたい」「自己分析したい」「ニューストッピクスに反応できるスキルが欲しい」「とにかくモテたい」という方の参考になればと考えています。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』 』

【著者】 河合 薫 【月額】 ¥550/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 水曜日(祝祭日・年末年始を除く) 発行予定

print
いま読まれてます

  • 東日本大震災から11年。孤独な心に閉ざされた被災地高齢者たちの叫び
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け