辛口評論家が問う、“自民党と連合した”連合に存在意義はあるのか?

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連合は1月5日の新年交歓会に岸田首相を招いてスピーチさせ、立憲民主の泉代表を壇上にも上げませんでした。初の女性会長となった芳野友子氏は、いったい誰と“連合”しているのでしょうか。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、評論家の佐高信さんが、東京新聞のインタビューに答えた自身の言葉「芳野氏の頭には反共しかない」を補足しつつ紹介。女優の山田五十鈴さんの言葉を引き、「アカ(共産主義者)と呼ばれることを恐れて組合活動はできない」と厳しく批判しています。

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連合は自民党と連合した

「連合」について『東京新聞』特報部からインタビューされ、それが5日付朝刊に載った。

ロシアがウクライナに侵攻し、原発を狙って爆撃したことがわかったこともあって、大阪府高槻市に住む86歳の水戸喜世子が「プーチンよ!トルストイが泣いている」というプラカードを掲げて抗議している写真も載っている。

冒頭に私と同じ学年の元連合会長、高木剛の私も納得できる次の発言を掲載。

「戦争が誰に一番響くかというと労働者、女性、子どもだ。連合で一番大事なのは戦争はしたらあかんということ。核兵器に担保された平和を是とするのか。核廃絶に一歩一歩行くしかない。力を持てば使いたくなる。プーチンのように」

しかし、残念ながら現連合会長の芳野友子にはそうした問題意識はまったくない。自民党に近づき、新年会には岸田文雄を招いてスピーチをさせ、野党の立憲民主党の党首たちは壇上にもあげなかった。さらに芳野はその後、お礼に首相官邸を訪れている。

それを批判した私の発言として、「これでは自民党連合だ。賃上げ要求など労働運動で権利を勝ち取るのではなく、強者におねだりして獲得しているだけだ。アカ(共産主義者)と呼ばれることを恐れて組合活動はできないのに、芳野会長の頭には反共しかない」が載っている。

さすがに少しやわらかくなっているが、私は「連合は自民党と連合した」と批判した。そして、“おねだり連合”あるいは“物乞い連合”だと言ったのだが、そうは書けなかったのだろう。

連合はかつて労働組合が戦争に協力した道を歩き始めている。1936年に発足した「全日本労働総同盟(全総)」がたどった道を繰り返すことになるのだろう。それを強調して憤る私の発言は、「2・26事件の年にできた全総の旗印は反共。現状と同じだ。自民が戦争を始めようとしても、今の連合は歯止めにならないだろう。翼賛体制の始まりだ」と紹介されている。

芳野を見ていると、明らかに自民党より共産党の方が遠い。遠いというより、自民党には親しみを感じ、共産党には憎しみをつのらせている感じである。しかし、労働組合のトップがそれでいいのか。私は往年の名女優、山田五十鈴の吐いた言葉を思い出す。

「貧乏を憎み、だれでも誠実に働きさえすれば幸福になれる世の中をのぞむことがアカなら、私は生まれたときから赤も赤、目のさめるような真紅である」

反骨のルポライター、竹中労によってすくいとられた山田の言葉だが珠玉のようなきらめきを放っている。しかし、芳野にはまったく理解できないだろう。

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