梁茂進(ヤン・ムジン)北韓大学院大学教授は「金副部長名義の談話という点や尹錫悦大統領当選者を直接非難しなかったという点で水位調節をした側面がある」とし、米国や国連安全保障理事会にも言及しなかった点を勘案し新政府を手なずける目的を内包していると見る。
しかし、対外メディアの朝鮮中央通信だけでなく北朝鮮全住民が読む労働新聞に、金副部長と朴秘書の談話を掲載したという点で体制結束を強化し、責任ある当局者の意志によって対南強硬ドライブを本格的にかけるという意思を示したという評価だ。
金副部長が「多くのことを再考する」と言っただけに、北朝鮮が、韓米合同訓練などを口実に対南機構である祖国平和統一委員会と金剛山観光局を廃止するか、南北通信連絡網の断絶、9.19軍事合意破棄などを敢行する可能性があるという観測も出ている。
慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「北朝鮮が宣伝媒体次元の非難を超えて“強対強”(=双方ともに強硬姿勢の意)対決を本格化している」とし「文在寅政府以前の2017年の対決状況に戻るレベルではなく最悪の南北関係に直面する可能性がある」と予想した。
特に、次期政府の強硬な対北朝鮮政策のムードに便乗して現政府まで強硬一辺倒の軍事的圧迫メッセージを続ければ、北朝鮮の超強硬対応を誘発する恐れがあると憂慮した。
一部の消息筋からは、次期政府の対北朝鮮政策と関係なく、北朝鮮が米国に対して大陸間弾道ミサイル(ICBM)と核実験という強力な挑発を続けるという見方も出されており、これからの北朝鮮の出方に目が離せない状況となっている。
文在寅政府のこの5年間、金正恩を完全に甘やかしてきただけに、尹錫悦次期政権がどのように南北関係の舵をとってゆくのか注目されるところだ。
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image by: 朝鮮労働党機関紙『労働新聞』公式サイト