しかし現実は反対だ。普通の人にとって、大統領府は「甲の中の甲」だ。政権初期であればあるほどなおさらだ。政府省庁や公共機関はもとより企業もびくびくするようになる。現政権における環境部の「ブラックリスト」事件や原発経済性の評価操作のようなことがそれで起こる。
権力を分けることは難しく、自制することはさらに難しい。イム元議員は「青瓦台秘書室のメンツが決まれば、その荷物は乙である大統領に回ってくる」とし、参謀たちに「ボイスレス」「フェイスレス」を注文した。参謀が自分の声を出し、自分の顔を引き立たせるような態度に出るなということだ。いわゆる「尹核官(=ユンヘッカン=尹の側近)」のことを念頭に置いての発言と思われる。
尹次期大統領が「済州4・3追悼式」で、遺族に90度のお辞儀をした場面は印象的だ。5年後にも国民がこうした場面を見て「大統領は本気だ(下男論は本当だったんだ)」と感じるなら成功した政権といえるだろう。尹次期大統領は、大統領府には入らないと宣言した。大統領と彼の秘書室を総称して何と呼ぶかもまだ決まっていない。大統領の執務室がどこであれ、何と呼ぼうと、権力の主敵は「傲慢」だと思う。傲慢に勝つ権力が見てみたい。
ちなみに上述の「済州4・3事件」というのは、1947年3月1日を基点として1948年4月3日に発生した騒擾(そうじょう)事態、及び1954年9月21日まで済州島で発生した武力衝突と鎮圧過程で住民たちが犠牲となった事件をいう。簡単に言うと、政府が済州島の住民らを無差別にパルチザン(共産主義者)として殺戮した事件である。
※ 今回は朝鮮日報コラムをベースとした
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