「検捜完剥」問題で韓国全体が大騒ぎとなっているなか、尹錫悦次期大統領は13日午後、新政府=尹錫悦政府の法務部長官に韓東勳(ハン・ドンフン、49、司法研修院27期)司法研修院副院長を指名した。
「引継ぎ委」が配布した候補者資料には、韓東勳氏に関して「特に政治権力、経済権力など社会的強者を対象にした不正腐敗犯罪捜査で歴代比較対象がないほど抜群の成果を収め、『進歩』『保守』陣営を問わない『権力不正捜査の象徴』になった」とし、「これだけでなく、数年間続いたあらゆる逼迫に対抗して公職者の本分を尽くし、常識と正義を守るために努力を傾けた」と評価した。
「今後、法務部のリーダーとして国民だけを見つめ、法治主義を守り抜く適任者」と明示してある。
韓東勳・法務部長官候補は、尹次期大統領がソウル中央地検長を務めた2017年に中央地検第3次長検事を、尹次期大統領が検察総長になった2019年には権力捜査を指揮する最高検察庁反腐敗強力部長を務め、尹錫悦を懸命に補佐した。
しかし、チョ・グク前法務部長官候補一家の捜査で、いわゆる「尹錫悦師団」が政権と対立することになると、韓検事長も2020年1月、秋美愛(チュ・ミエ)前法務部長官によって釜山高等検察庁次長に飛ばされた(左遷)。
その後、法務研修院龍仁分院、法務研修院鎮川本院、司法研修院副院長まで計4回の報復人事(4回の左遷)を受けた。
韓候補は13日の指名直後、記者団に対し、「検察は効率的に実力を持って、法と常識に合わせて陣営を選ばず、悪い奴らを巧みに捕まえればいい」と述べた。
そして、「国民は、ただ法と常識に従って正義が正しく立つ法治国家を望んでいるということを私はよく知っている」とし、「私が公職生活をしている間、強者の不正を厳正に糺すべく努力し、その心と勇気と献身を持って法務部長官として最善を尽くす」と話した。
引継ぎ委の内外では、尹次期大統領が、民主党の内部で12日に「検捜完剥」法案の強行処理を党方針として採択したことを受け、検察捜査権の廃止が現実化するものと判断し、「検捜完剥」法案に対抗する特別捜査庁の設置など代案推進まで考慮した人選という分析も出ている。
これまで韓候補を中央地検長や水原地検長に起用するという観測が多かったが、これらは検察捜査権の維持を前提としていただけに、尹錫悦政府発足前に捜査権が消えてしまえば、ソウル中央地検長ではなんの意味もなくなるという点を考慮した格好だ。
民主党からの反対の声が猛烈に起こっているが、韓東勳氏が法務長官になるのは確実。法と常識に基づいて正義が堂々と立つ国造りに一役も二役もかうことになるだろう。
(無料メルマガ『キムチパワー』2022年4月14日号より一部抜粋)
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