「対ロ制裁に意味なし、話し合いを」という中国の主張が合理的な証拠

 

バイデン政権にとってさらに頭が痛い問題は、アメリカ経済の屋台骨である個人消費に明らかな陰りが見え始めていることだ。理由は、いうまでもなくインフレだ。

こうしたなかバイデン政権はにわかに対中制裁関税の見直しに言及し始めた。

4月22日ブルームバーグテレビに出演したイエレン財務長官は、対中制裁関税の見直しについて「『対応でできることはやりたい』と述べ、対中制裁関税の引き下げは『望ましい効果がある』との認識を示した」というのだ。大きな変化だ。

しかし、ここで立ち止まって考えてみたいのは、はたして対中制裁関税はこの間「何かを生み出したのか」という根本的問いだ。米中関係がこの制裁によって大きく前進したという事実もない。

こう考えたとき、中国が「制裁は意味がない。話し合うべき」と主張することは、案外合理的なのではないかと私は思うのだ。

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image by: Alexander Khitrov / Shutterstock.com

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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