バイデン政権にとってさらに頭が痛い問題は、アメリカ経済の屋台骨である個人消費に明らかな陰りが見え始めていることだ。理由は、いうまでもなくインフレだ。
こうしたなかバイデン政権はにわかに対中制裁関税の見直しに言及し始めた。
4月22日ブルームバーグテレビに出演したイエレン財務長官は、対中制裁関税の見直しについて「『対応でできることはやりたい』と述べ、対中制裁関税の引き下げは『望ましい効果がある』との認識を示した」というのだ。大きな変化だ。
しかし、ここで立ち止まって考えてみたいのは、はたして対中制裁関税はこの間「何かを生み出したのか」という根本的問いだ。米中関係がこの制裁によって大きく前進したという事実もない。
こう考えたとき、中国が「制裁は意味がない。話し合うべき」と主張することは、案外合理的なのではないかと私は思うのだ。
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