崖っぷち習近平「ジャック・マー逮捕騒動」が炙り出した中国の終焉

 

そのため中国当局は、4月25日、外国の敵対勢力と結託し国家分裂と政権転覆を狙ったという理由で馬某某を逮捕し、さらに捜査中であるということです。場合によっては無期懲役の判決を受ける可能性があると、中国メデイアは報じています。

当初、「馬某」がジャック・マーだとされたのは、まったくの「濡れ衣」だったわけで、アリババの株価暴落は投資家にとってもいい迷惑だったでしょうが、こうした誤った情報で社会が動いてしまうことを中国では「烏龍事件」と言います。言論統制による愚民化政策を行っている中国では、正確な情報がわからないため、かえって憶測が憶測を呼んで荒唐無稽な噂話が広がってしまうことが多々あるのです。

このニュースでジャック・マーの逮捕が疑われたのは、2020年10月に同氏が中国の金融当局を批判したことで拘束され、傘下のアントグループの株式上場を直前で差し止められたということがあったからです。

加えて、現在中国では習近平政権が「共同富裕」(みんなで豊かになる)を提唱しており、格差の拡大は一部の富裕層によるエゴイズムの結果だと見なされるようになっており、ジャック・マーはまさしく格差拡大の「戦犯」だという認識が広がっているため、ちょっとしたことでジャック・マーの逮捕や失脚が取り沙汰されやすくなっているのです。

習近平主席の「共同富裕」言及が急増-中国の裕福な層への警告か

ある意味で、中国の一般大衆は富豪の失脚を心待ちにしているところがあり、それを習近平政権が煽っている部分があります。とくに新型コロナの感染者増による都市封鎖が続き、経済も打撃が避けられない状況で、人民の不満が高まっており、誰もがそのスケープゴートを求めているのです。

報道によれば、上海に続いて北京でも一部地域がロックダウンに近い状態になっているそうです。

たった1人陽性で都市全域封鎖 北京近郊、住民の不満は次々“削除”

また、河南省鄭州市では突然、5月4日から1週間のロックダウンが宣言されました。これにより市内では食料買いだめに市民が殺到し、半頭や1頭分の豚の身を持ち帰る人たちの姿が目立っていると報じられています。このような混乱ぶりから今後の同市の行く末を悲観して、「これは鄭州大虐殺として歴史に残る」という冗談が飛び交っているそうです。

鄭州封城前 民眾聞風搶購物資 整隻豬直接扛回家

中国史を振り返れば、王朝が成立すると、

1.やがて限られた資源をめぐり争いが起こり→2.それが社会不安と混乱を招き、民衆の不満が爆発して各地で反乱が頻発→3.これに乗じて群雄が割拠し、そのなかの一人が前王朝を倒して新たな王朝を建国→1.に戻る

ということを繰り返してきました。そのため、政権批判については非常に敏感で、とくに社会不安が大きくなっているときには、厳しく取り締まりまってきました。それがいわゆる「文字獄」です。文書内の文字や内容が政権を批判しているとして、文書作成者を粛清するのですが、その多くは揚げ足取りによる冤罪でした。

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