実際に、戦争反対と言っているのはこの世代と、この世代に感化を受けた一群であるということになります。日本に残っていたのですから、実際に戦場の様子を知っているわけではありません。そのことから、戦争の実態ではなく「空襲で被害に遭って戦わなかった人々」の記録が残っているのです。
そして、自分たちの被害に対して「戦争を決断した政府」や「外地に向かって戦っている兵隊」に対して不平不満を言ってるということになります。そして、「被害を受けた」「身近な人が死んだ」というようなことばかりを強調し、「なぜ戦争になったのか」「何故日本は爆弾が降るようになったのか」など、本当の歴史を直視できない状態になってしまっているのです。
しかし、兵に出て、戦地を経験した人が徐々にいなくなってしまったので、この「被害者世代」が中心になるということになります。この時代の思想や学術理論が、なぜかいまだに日本を支配しているのです。
一方その世代が徐々に映画の世界から引退し、そして「戦争を経験していない世代」が台頭してきます。この世代は、戦争そのものを歴史に従って調べ、そのうえで、その戦争の体験や、現代の戦争(アメリカなど)の記録を読んで、そのうえで、なるべく史実に近いような描写を心掛けるようになります。
はじめのうちは「被害者世代」の影響を大きく受けることになるのですが、しかし、徐々にその世代も口を出さなくなると、現実描写が始まります。戦わなければ大切なものを守れないというような表現が大きくなり、そして戦うということを否定しない世代が生まれてくることになります。
戦わないで逃げること、主権を失うこと、人の奴隷になって服従しなければならなくなることのみじめさなどを強調することになるのです。(メルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』2022年5月30日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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