中国から脱出せよ。国を見限る若者たち、ネットで流行る「潤学」とは

Airport Departures Terminal, HongKong-18July2021: Man hold a blue passport with the reflective golden name Hong Kong Special Administrative Region of the People's Republic of China on the book coverAirport Departures Terminal, HongKong-18July2021: Man hold a blue passport with the reflective golden name Hong Kong Special Administrative Region of the People's Republic of China on the book cover
 

中国では最近、「潤学」という言葉がネット住民の中で流行っているといいます。一見すると学問の一種のようにも感じますが、実際はイメージとはかけ離れる“危険”な言葉のようです。中国出身で日本在住の作家として活動する黄文葦さんが、自身のメルマガ『黄文葦の日中楽話』の中でその「潤学」の意味を紹介。そこから派生した中国人の実態に迫ります。

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中国人の「潤学」 移民という生き方

最近、中国のネットで、「潤学」という言葉は流行っている。ちょっと分かりづらいだろう。「潤」は本来「潤い」という意味だが、現在「潤」という動詞は「海外に移住する」、つまり移民の意味合いを持つようになった。「潤学」は中国を離れて先進国に移住する方法を研究することを意味する。つまり、移民の学問だという。

中国語の「潤」は「光り輝く」「利益(儲け)」を意味し、「過得滋潤」のように「潤」には、現地の口語では「快適に暮らす」という意味もあるので、「より良い場所に逃げ込む」という深い意味もあるのだそうだ。

「潤」は、中国では若者のキャリア形成において、「内巻」、「タンピン」と並ぶ3つのライフスタイル選択肢のひとつと考えられる。

中国のコロナ感染が3年目に入り、故郷を離れようとする中国人が増えている。そのほとんどは、大規模な封鎖が経済に大きな打撃を与え、食糧供給や医療へのアクセスに問題が生じたため、約2カ月間上海に閉じ込められている中産階級や富裕層の人々である。

海外にコネクションを持つ人の中には、世界に開かれた中国の門戸が閉ざされることを懸念する人もいる。また、コロナの感染拡大で深刻化した政府の監視に不満を抱いている人もいる。

「この国は変えようがないし、何かを非難することもできないような状態です。変えられないなら、逃げるしかない」、これは多くの人が思うことだ。まさに「逃げるは恥だが役に立つ」。

ある調査会社によると、4月に「移民」という言葉の検索が先月より440%増加した。ある移民のコンサルタントは、「上海がロックダウンされてから、問い合わせが急激に増えた」という。

中国当局は出国を制限している。中国移民管理局は最近、「不要不急の出国活動を厳しく制限する」とし、これはコロナと関係があり、輸入感染を減らすためだとしているが、中国のソーシャルメディアユーザーからは、実は頭脳流出を防ぐためではないかとの見方も出ている。

政府は昨年、ビジネス、留学を除き、ほとんどの一般旅券の発行・更新を行わないことを発表した。国家移民局のデータによると、2021年上半期のパスポート発行数は、2019年同期の発行数の2%だ。

中には、中国の厳しいコロナ対策が世界とますます乖離していることに気づき、出国を希望する人が大勢いる。がっかりした人は上海に限ったことではない。他の都市の人も、近いうちに同様のロックダウンが行われ、厳しい状況に置かれることを懸念しており、閉鎖による経済的圧迫を感じている人もいる。中国の若者の中には、チャンスが少なくなっていることを実感し、国を出る決意を固める人もいる。

これからも「潤学」という移民に関する学問は、より多くの人々に研究され、実践されるだろう。

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