日本では、地方を走る鉄道の廃線が相次いでいます。国鉄が民営化したことにより、赤字が続けば倒産してしまうという当然のリスクを抱えたうえで、採算路線を存在させうるためにはどうすればいいのでしょうか。そこで今回は、メルマガ『石川ともひろの永田町早読み!』の著者で、小沢一郎氏の秘書を長く務めた元衆議院議員の石川知裕さんがもう一度鉄道を事業として見る目を考え直すべきとして意見を述べています。
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各地で深刻化する鉄道の廃線問題/民間任せでいいのか
国鉄分割民営化から35年が経過した。
民営化ではっきりしたことは、大都市を抱えるJRには新幹線やリニア開発など景気がいい話が出てくる一方で、地方では廃線が相次いでいることだ。特に北海道では人口減少とモータリゼーションの波で、より一層の乗車離れが進んでいるので、このままでいくと主要路線以外は全て廃線という事態も予想される。
確かに、ただ「残す、残す」と言ってみても赤字を垂れ流しつづけることはできない。JRは民間企業だから、赤字が続けば倒産する。そうなってはいけないので国が補填をし続けてきたが、これも巨額になるので採算が合う路線以外は廃線にするということを続けているのが現状だ。
しかし、採算路線というものが存在しなくなってきている。コロナが拍車をかけているのは言うまでもない。では経済原理に合わせて廃線にした方が良いのだろうか。この問いに対し、多くの人は「何か他の方策があるでは?」と期待を寄せる。
では何があるだろうか。
一つは観光としての地方路線の活性化である。ストーブ列車(津軽鉄道)が代表例だ。車内販売で買ったスルメをストーブであぶって酒を飲むのが楽しい。九州の「クルーズトレイン ななつ星」はラグジュアリーな寝台列車で、1年先まで予約が埋まるほどの人気ぶりだ。そのほかにも地域と連携した取り組みを進めて経営を盛り返した例はある。
ローカルジャーナリストの田中輝美さんの記事を読んだ。欧州では「フライト・シェイム」(flight shame)と言い、気候変動への危機感から燃料を大量に使う飛行機を避けて鉄道などを利用する運動が起きている。ドイツでは鉄道やバスなどの公共交通を月額1,200円で乗り放題にした。オーストリアやニュージーランドも同様の政策を採っている。地球環境に配慮した結果だ。
鉄道を採算性を求める「事業」としてではなく、「資産」と位置付け、公的財源で支え環境負荷を減らすことが、SDGsに基づいた政策ではないだろうか。
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