2020年、ソウル龍山で発生したテスラモデルX火災事故の際は、電気自動車の埋め込み式取っ手が開かず、救助が遅れ、結局運転者が死亡した。一部の電気自動車モデルは普段、車のドアノブがドアの内側に隠れていて、取っ手を押して外に取り出す方式だ。
しかし、釜山で火災が起きた今回の現代自動車のアイオニック5は、衝突が感知されれば、取っ手が飛び出すように設計されている。死亡した搭乗者の死亡が自動車の取っ手とは関係がないということだ。
国立科学捜査研究院の1次解剖の結果、搭乗者たちは胸側の骨が骨折していたことも確認されている。負傷で簡単に体を支えられず迅速な避難が難しかった可能性はある。
今回の釜山電気自動車の火災は翌日午前6時を過ぎてようやく鎮火した。鎮火に何と7時間以上かかり、深夜12時を過ぎてからは全て消したと思っていた火が再びついた。
このように電気自動車の火災鎮火が難しいのは、バッテリーが鉄製で覆われており、消火剤が浸透できないからだ。車を丸ごと巨大な水槽に入れたり、車の周囲に臨時の壁をつくりバッテリー全体を水で包み込まなければならない。
今回の火災も臨時の壁をつくってバッテリー全体を水で包み込むようにしバッテリーを水浸しにする必要があった。これはリチウムイオンバッテリーの共通的な特性で、特定メーカーの問題でもない。
電気自動車のバッテリーは超高張力鋼板が保護する構造だ。自動車業界は時速60キロ前後の衝突にはバッテリーが安全だというが、今回の事故でも分かるように100%安全を断言することはできないと専門家たちは話す。
大徳大学のイ・ホグン教授は「開発中の全固体バッテリーは熱暴走から安全だが、実際の量産まで少なくとも数年かかるだろう」とし「現在、電気自動車は安全運転だけが火災から自分を守る道」と語る。
しかし、安全運転といっても今回の事故のようにおそらく40キロにもなっていないはずなのに、わずか3秒で800℃という暴走。
電気自動車はバッテリーを搭載しているため、事故に遭ったときにはすこぶる弱い点が浮き彫りにされた形で、今後の電気自動車の方向性を左右するようなインパクトの強い事故となった。
3秒で800℃にもなられたのでは、助かる人は誰もいない。電気自動車の行方はいかに。
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