ところがソロヴェイさんによると、新興財閥による「反パトルシェフ同盟」が形成されている。反パトルシェフ同盟の中心人物は、新興財閥です。具体的には、
● ロマン・アブラモービッチ
彼は、イギリスのサッカーチーム「チェルシー」のオーナーだったことで有名です。最近は、ロシアとウクライナの仲介に動いています。
● アナトリー・チュバイス
この方は、ソ連崩壊後の民営化改革を主導した人物です。副首相、大統領府長官、統一エネルギーシステム会長、ロスナノ社長などを務めました。ウクライナ侵攻後、ロシアを離れ、トルコ経由でイスラエルに入ったそうです。ちなみに、アブラモービッチ、チュバイスは、ユダヤ系。
● オレグ・デリパスカ
アルミ大手ルサル社長。この方は2008年時点で、世界10位の大富豪でした。近年は、制裁の影響もあり、資産を大幅に減らしているようです。
● ウラジーミル・ポターニン
インターロスグループ会長。このグループの中核企業は、ノリリスク・ニッケル。2020年時点で、ロシア一の大富豪でした。
ソロヴェイさんによると、
- アブラモービッチ
- チュバイス
- デリパスカ
- ポターニン
の4人が、「反パトルシェフ同盟」を結成した。ちなみに、この4人は、「反ウクライナ戦争」という共通点もあります。
では、「反パトルシェフ同盟」は、誰を「次期大統領」にしたいのでしょうか?意外なことに、アントン・シルアノフ財務大臣を次期大統領にしたい。この方は、2011年から現在まで、なんと11年も財務大臣をしています。シロビキとは遠い人。
さらにソロヴェイさんによると、ナビウリナ中央銀行総裁を次期首相にしたい。エリヴィラ・ナビウリナさんは、2013年から現在まで9年間中央銀行総裁を務めています。彼女はかつて、「2000年から08年の経済成長は、原油価格高騰によるものだ。これからさらに成長するためには、【投資環境の改善】が不可欠だ!」と力説していました。
ところが、彼女のボス、プーチンは、「投資家が逃げ出す」ことばかりする。具体的には、クリミア併合とウクライナ侵攻です。仕方なく、ナビウリナは、その天才的頭脳をもって、ロシア経済を安定させてきたのです。
シルアノフ、ナビウリナ、二人とも経済学者で、戦争に関してほとんど発言していません。それで、新興財閥だけでなく、欧米、ウクライナにもうけいれやすい人選といえるでしょう。